薔薇と祖母, うのもりトンネル草ぼーぼー
冨田 真歩
作者によるコメント
植物は踏むとガサガサと音がしたり、家をごっそり覆ったり、触るとつやつやしたり毛が生えてたりしているのを見ると、美しいというよりゾワゾワするような、恐ろしさがあります。しかし、自分の産毛に手を這わせると、草一本と自分は同じなのだと改めて感じます。自分の手癖と描かなければならないもの、現在の絵の状況を見極め、一筆を大事に捨てるように描いていきました。
担当教員によるコメント
キッチンの片隅で芽が出てしまったジャガイモの、その見慣れぬ姿にうろたえた。食品としての定めにあることなど知る由もなく、生きようとするジャガイモの別の顔。ジャガイモを食べ物としか見ていなかった傲慢さや、恐ろしいまでの生命力や、罪悪感やで、いろいろうろたえたのである。光合成を求めて明るい方向に葉や茎を延ばし、栄養を探して地中を根が這う。そこには人間の都合や、ましてや感傷が入り込む余地はない。冨田真歩は植物をモティーフに制作をしてきた。植物園の花であったり、祖母の園芸であったり、手付かずの雑木林であったり、人間の都合によってさまざまな役割を振り分けられる、あるいは放置される植物であるが、冨田はその良し悪しを問うことはなく、分類することもなく、賛美するのでもなく、正直に植物と向き合い、その壮大な物語に静かに耳を傾けるのである。
教授・吉澤 美香
- 作品名薔薇と祖母, うのもりトンネル草ぼーぼー
- 作家名冨田 真歩
- 作品情報『薔薇と祖母』
素材・技法:綿布、キャンバス、アクリル
サイズ:H1167×W910mm
『うのもりトンネル草ぼーぼー』
素材・技法:クラフト紙、アクリル
サイズ:H1790×W1300mm/H1300×W1790mm - 学科・専攻・コース
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