Roaroad

山本 幸奈

作者によるコメント

〉〉ボールペンだーい好き〈〈
ah ril titis rowiet/ ril me az mer/rideulu, quel ah mer/ si, ah tis si.
絵を描いた/私の夢について考えながら/毎夜、私は夢を見る/だから留めた。

担当教員によるコメント

山本幸奈は、カラーボールペンで、グルグルと渦巻状に線を走らせ、1つずつ面を埋めていく。つまり渦巻状に緻密に描かれた線が色面となり、それらが画面を覆っていくのだ。ある意味、装飾的とも思える空間で構成されながら、そこに少女たちの像が浮かび上がってくる。しかし少女たちは、背景の装飾と同質で描かれ、色調の変化だけでかろうじて現れてくるので、装飾との間に生じる揺らぎが少女の像として現れてくるかのようだ。山本は、これまでシルクスクリーンで制作を続けてきたが、卒業制作では版画から離れてドローイングのみの仕事となった。しかしながら、カラーボールペンの限られた色数をどのように配置するかの彼女のドローイングは、正に版画の分版作業に通じるところがあって興味深い。そこに版画制作で培ってきた版的な思考がドローイングに展開され、ここに版画の多様な展開を見ることができるだろう。

教授・大島 成己