色水ややな
坂本 茂乃
作者によるコメント
灯籠が倒れてました。
墓石はズレてました。
迷子になったパーツが転がってます。
白のクレヨンで紙の上に線を引いた時、別の色が混じっていました。
昔の私が使った色でした。
虫達の血の色はカラフルです。
生き物は赤い血だけじゃありませんでした。
空気に上と下はありません。
天地が分からなくなりました。
見た情報は、心と通じ合わせた時に違和感を感じて記憶に残ります。
分からない固まりに触れたくなります。
触れられるようになった時、未知の感覚を共有し合いたいです。
私の見てる世界を形にして分かち合いたいです。
担当教員によるコメント
見たものや感じたことを偽りなく誠実に表現する。この事ほど困難を要することはないだろう。なぜなら人はこの世界の一部として、あらゆる関係性の中で生かされている存在であるから、どこか一部を切り取って持ち出しても何かが違っていたり、足りなかったり、過剰であったりするのである。それは人が「類」として自然と切り離して考えられる存在となった事と無縁ではないだろう。 それは芸術にも言え、もともと全てが一体となり見事なバランスを保っていたものを乱暴にも輪切りにしてジャンル化したのだ。この作者もこの世に生を受けながらも、肉体と精神とが断絶した現代社会に戸惑う一人であろうか。
教授・水上 嘉久
- 作品名色水ややな
- 作家名坂本 茂乃
- 作品情報技法・素材:石、水彩絵具
積み上げ式(芯棒なし)
サイズ:H1400×W500×D300mm - 学科・専攻・コース
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