Sex with Capitalism

YE Zijing

作者によるコメント

ラブホテルは、性行為に適した設備を持ちますが、普段は「性」の話題を避ける傾向があります。それでも、日本全国に数多く存在します。「ラブホテルは、日本社会でどんな役割を果たしているのか?」という疑問に答えるため、2022年5月、私はポップアップラブホテル「Hotel kotoba」をギャラリー空間に設置しました。貸しギャラリーは住宅街にあり、小学校の向かいにあります。この場所にラブホテルが存在することに驚きを持つ人もいましたが、多くの人々に注目され、社会的な議論を呼び起こすことになりました。このプロジェクトを通じて、ラブホテルという空間の役割や意味について再考することができました。

担当教員によるコメント

貸画廊空間をラブホテル風に作り替え、時間貸しを行うプロジェクト作品『Sex with Capitalism』は、日本社会における性の在り方を問題提起している。性行為を目的とするラブホテルの存在は、過剰な内装と共に日本独自なものだが、性の話題が隠遁される日本社会の傾向を考えるとき、奇妙な対比現象として認知される。特に留学生であるヨウにとっては、開放的かつ閉鎖的である性に対する考えが、日本社会を体現する特徴として発見されたのであろうか。さらに考察すれば、日本におけるアンビバレンスな性の在り方は、LGBTQ+やジェンダー、女性に関する政治的状況が一向に改善しない不平等性と関係しているだろう。自由で奔放なラブホテル空間が無意味で空虚である所以を、是非今後のプロジェクト継続で導いて欲しい。

教授・笠原 恵実子

  • 作品名
    Sex with Capitalism
  • 作家名
    YE Zijing
  • 作品情報
    映像
    技法・素材:ミクストメディア
    インスタレーション
    サイズ:可変
  • 学科・専攻・コース