Machine 4

近藤 芳観

作者によるコメント

私たちは特段意識することの無い、なんの変哲もない時間に何を感じたのか鮮明に覚えていることはできません。その一方で、何処かで見たことがある気がするものに時々出逢います。長く頭に引っかかって無性に気になるそれは、そんな時間に見たものかもしれません。私は、自分の作品がその無性に気になることのきっかけになって欲しいと考えています。この作品は鉄の枠に吊られたブラインドがワイヤーの仕掛けで揺れるだけのものです。けれどもそれに風を感じたり、隙間から差す日差しを感じます。これらは誰にとってもなんとなく体験したことのある時間です。私の作品が誰にとっても、なんの変哲もない時間に感じたことを意識させてくれるものであって欲しいです。

担当教員によるコメント

水平垂直が整理された構造美、ダイナミズムを用いたキネティックスカルプチャー、人間の主観を離れて独立存在するというピュシス。近藤作品の彫刻性とはどれも違う気がする。
彫刻制作をしていて自然と考えなければならないことの一つ。「動かなさ」と「動けなさ」。
変わらないから出来る表現があって、動けないからこそ周りの環境との関わり方に意識的になる。
近藤はモーター+自作のカムを駆使してキネティックな彫刻を作り続けてきたが、テーマとして扱ってきた現代の生活風景、つまり自分を取り巻く外界の世界と自身の「動けなさ」というものが彫刻性として宿っているのではないかと思う。
プログラミング、デバイス、フィジカルと幅広くメディアを扱う制作は非常に巧みで、今後の作品展開が楽しみである。

講師・木村 剛士

  • 作品名
    Machine 4
  • 作家名
    近藤 芳観
  • 作品情報
    技法・素材: ミクストメディア
    可動作品
    サイズ:H2400×W1500×D2400mm
  • 学科・専攻・コース