繋がり巡る

米川 真紀

作者によるコメント

どんなことも、どんな出来事もその一つ一つが繋がって自分の糧となる。そんな思いを込めて作りました。
この考えは、私の歩んできた人生を振り返ってみると、家族や友人、学校の先生、部活の先輩や後輩、たくさんの人との繋がりが今の自分を作ってくれているという実感があるからです。
私は動物が好きで、中でも海洋生物をテーマにした作品を大学で作ってきましたが、今回卒業制作のテーマとして選んだ「イワシ」は、群れを作って大きな一つの塊になる姿と、海の食物連鎖を支える生物という命の繋がりが、そんな私の人生観に重なるところがあったので、今回のイワシの群れをモチーフに作品を完成させました。
これからも、楽しいこと、辛いこと、その全てが自分を成長させてくれる大切なものである。そんな考えを持ってどこまでも大きく成長していきたいと思います。

担当教員によるコメント

作者は海洋生物が好きで制作におけるテーマは具体的であった。
カツオノエボシ、ウツボなど実際の魚の姿を表してきたのであるが、
卒業制作ではイワシをテーマに選んだ。
しかしここに表されているのは一つ一つの個体としてのイワシの姿ではなく、
集団となって群れ動くダイナミックな離合集散の動きそのものである。
それはあたかも大きな水流の蠢きのように感じられ、海中、水中ではなく
現実の空間の中に動勢のある抽象的な表現として彫り出されている。
この事は彫刻制作における重要な要素としての細部と全体の関係性について
思考することを見る側に求め、現在進行形の中にある未完成であるがゆえの
造形の可能性を強く意識させる作品となっている。

教授・川越 悟