echo

ZHAO Yu

作者によるコメント

体に欠けた部分は自分の一部を意味し、心中の混乱・不安や恐怖心など複雑な感情である。空っぽになったところをトンネルのような形にしたのは、人間同士のコミュニケーションや意識のぶつかり合いがエコーを起こしたり、主動的あるいは受動的に私の人生観に影響を与えたりしていたということである。
このように自分のことを反省し、目標を達成することよりも、その中での経験の方が重要である。今後の人生においても素晴らしい経験をすることを望んでいる。

担当教員によるコメント

人の姿を表すことは彫刻の長い歴史において幾多の名作が残され
現代においても変わる事のない重要なテーマとなっている。
作者は多様な現代の彫刻表現がある中から人の姿を表す事をテーマに選び
一貫して人物表現に取り組んできた。
今回の卒業制作では自刻像を完全な外見の姿として表すのではなく、
その表現に欠損部や空洞を開ける事により人格を形成する精神的な部分や
揺れ動く今現在の感情をも表現しようと試みている。
まだまだ技術的に改善すべき余地は多いが、何よりその積極的で粘り強く
表現する姿勢が説得力のある造形を生み出している。
さらに言えば完全と不完全のせめぎ合いから現れる彫刻とそれを取り巻く空間との相互の関係性の広がりにも興味を差し向けてくれる作品となっている。

教授・川越 悟