TAMABI NEWS 101号(電脳世界の仕掛け人)|多摩美術大学
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バーチャル配信者によるVライブの配信、視聴ができるVライブコミュニケーションアプリ「IRIAM」06誰もがありのままの自分を表現できる世界をデザインする05年建築・環境デザイン卒業 個人がスマホからリアルタイムの動画を配信する「ライブ配信アプリ」が注目を集めています。私は株式会社ディー・エヌ・エーでライブコミュニティ事業本部の責任者として、Pococha、IRIAMなどのサービスを統括しています。同時にIRIAMを運営する株式会社IRIAMの代表取締役も兼任しています。 Pocochaは、一般のライバー(配信者)が動画を配信するプラットフォームで、IRIAMは、Vtuberとしてライブ配信するプラットフォームになります。ライブ配信、Vtuberとも市場は伸びていて、海外でも人気があります。これらのサービスの特色は、ライバーとリスナーが、密にコミュニケーションを取れるところにあります。YouTubeのような巨大プラットフォームでは、著名人が数万人に向けてライブ配信をしますが、PocochaやIRIAMでは、多くても30人程度のリスナーに向けてライバーが配信を行う小さなコミュニティが数万あるというイメージです。私は今のフォロワー数至上主義であるSNSの現状に違和感を感じていまして……。誰もがありのままの自分を表現して、誰かに必要とされるような世界をマジメに実現したいと思って、こうしたサービスを提供しています。 個人がスマホで手軽にライブ配信ができて、それを一般のリスナーがデジタルアイテムの送付や応援を通じてサポートするというビジネスモデルであり、コミュニケーションの全体像をデザインする──これが、私が統括するライブコミュニティ事業本部の仕事になります。一般的には企画職と呼ばれる職種になると思います。私は2008年に転職でDeNAに入社しました。デザイナー職で採用されたのですが、出版社で営業や企画を中心とした仕事をしていたこともあり、次第に企画職であるプロダクトマネージャーとしての役割が増えていきます。そして、音楽ストリーミング配信サービスや地域SNSなど新規事業の立ち上げを経て、現在に至ります。デザイナーから管理職という立場になり、より大きな仕事ができる点にやりがいを感じています。 多摩美時代は、環境デザイン学科(当時)で学びました。私が在籍していた2000年代前半は、インターネットにmixiやGREEなどが登場し、それらを周囲の仲間と楽しんでいました。自分の日記をWeb上で公開すると仲間から好評で、文章を書くのが得意だと思ったことが出版社に就職した理由だったかもしれません。その体験が現在のライブ配信サービスの構想にもつながっていると思います。 大学時代の授業で覚えているのは、インテリア専攻の授業で、照明デザイナーの内原智史さんの授業を受けたことです。現役のプロから直接指導してもらった経験は強烈に印象に残っています。授業だけでなく、同世代の“変人”たちとの出会いも刺激的でした。例えば、所属していたバスケットボール部に金工をやっている先輩がいて、その人は後に「鉄だけの茶室」をつくって、岡本太郎現代芸術賞を受賞しました。そんな人たちがゴロゴロいたので、多摩美時代にずいぶん頭が柔軟になったと思います。また、「世の中の課題をデザインで解決する」という挑戦を4年間ずっと繰り返してきた経験によって、「ユーザ 株式会社ディー・エヌ・エー ライブコミュニティ事業本部 本部長 株式会社IRIAM 代表取締役 Vtuberアプリ「IRIAM」の事業を牽引し新たなコミュニケーションを創出する増田真也MASUDA Shinya

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