ライブ配信と視聴が楽しめるライブコミュニケーションアプリ「Pococha」ルへの施設提供を行っています。そして、コンピュータスタジオでは個人利用もできる最新のパソ コン80台を備えています。 「studio fabCAVE」では3Dプリンタを利用した制作を行うことができます。樹脂のフィラメントを溶かして作る熱溶解積層(FDM)方式と、レジンを紫外線で硬化して作る光造形(DLP)式の2種類の出力機器が備わっており、データを持参すればサポートを受けながらプリントすることが可能です。 ほかにもさまざまな素材や資料が展示され、工作機械も豊富な素材の研究室「CMTEL」、あらゆる加工機械、塗装機械がそろった工作センターなど、「やりたい」「つくりたい」を実現するための環境が用意されています。07テクノロジーで表現を拡張する 電脳世界の仕掛け人ますだ・しんや2005年、多摩美術大学環境デザイン学科卒業。08年、デザイナーとして株式会社ディー・エヌ・エーに中途入社。Mobageなどを手がけたのち、デザイン本部本部長に就任。その後、ライブコミュニティ事業本部本部長、株式会社IRIAM代表取締役を務める。上:studio fabCAVEの3Dプリンタ下:上野毛キャンパスのスタジオ机上の「ロジカル思考」よりも「ユーザー体験」を重視する デジタル表現に取り組むにあたっては、知識や技術だけでなく、さまざまな機材やソフトも必要になりますが、メディアセンターを活用すれば学生の誰もが本格的な機器を使用して作品を制作することができます。 目的に応じた設備を備え、あらゆる分野をカバーしているメディアセンター。映像センターでは、映像の撮影や編集、2DCG・3DCGを制作できる環境が整えられているだけでなく、技術職員による技術サポートも行っています。また、3DCGスタジオでは、映像編集の講習会開催に加え、3DCGなどの映像表現を学ぶための授業・クラブサークーの気持ちに寄り添う」というサービス開発の基本姿勢が身についたと思っています。 サービス開発の責任者として新規事業を評価するとき、私が一番大事にしているのは「ユーザーが本当に使うかどうか」です。どんなに優れた企画でも実際にユーザーが使ってくれなければ意味がありません。そこで、企画段階では、まず簡単なモック(試作品)をつくって、ユーザーインタビューをするようなプロセスを積極的に取り入れています。 DeNAは、もともと業界でも有名な「ロジカル思考」の会社です。サービス開発においては、分厚い企画書を作成して、海外の事例や客観的データを論拠として、新規事業がビジネスとして成立する可能性を社内に向けてプレゼンするのが通例です。このカルチャーは多くのデザイナーにとってなじみのないもので、私は常にデザイナーの感性と論理的なビジネス思考をどう融合させるかを考えてきました。そんなとき、大手ゲーム会社と密に仕事をする機会があったんです。その会社は、論理よりもユーザー体験重視の姿勢が一貫していて、「まずはつくってみて、使ってもらう」というプロセスを重視していました。私はこの経験から学び、DeNAの強みであるロジカル思考に加え、ユーザー体験を重視するUXデザインの思考を取り入れて、サービス開発に取り組んでいます。つまり、新たなサービスを生み出すには、ロジカル思考とデザイナー的な感性のハイブリッドが求められるわけです。この点で、学生時代から世の中の課題と向き合ってきた美大出身者が、この業界で活躍できる可能性は大きいと思います。 また、AI時代におけるデザイナーの役割についても考えています。これからは、「選択」と「意思決定」が人間にしかできない本質的な仕事になってくるでしょう。AIがつくったものの中から何を選んで、どう判断していくか──だからこそ、学生時代にデザイナーとしての「見る目」や「センス」を養う経験がますます重要になってくると感じています。最新の設備とサポートで「やりたい」「つくりたい」が叶う映像制作やVFX、3Dプリントなど最新機器でデジタルクリエーションを実現多摩美の学生なら誰でも使える メディアセンター
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