08自分だけの強みを活かしてロゴに込めた細部へのこだわり16年グラフィックデザイン卒業『チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com』豊洲, 東京 ©チームラボてい・れいな・ろさりあインドネシア出身。日本の繊細なデザインに興味を持ち、独学で日本語を学び、多摩美術大学グラフィックデザイン学科に入学。2016年に卒業後、チームラボに入り、ビジュアルデザイナーに。左:『DMM.プラネッツ Art by teamLab』ロゴ、右:レイナさんがロゴとともにデザインした『チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com』ポスター 私はインドネシア出身ですが、幼少期から中国で暮らし、インターナショナルスクールで学んでいました。親戚が紹介してくれた日本のドラマやアニメを夢中で観るうちに、日本で学びたいという思いが芽生えました。受験に向けては、日本語の習得からスタート。高校を卒業後に来日し、日本語学校と美大予備校で半年間、集中的に学びました。日本語で試験情報を集め、限られた時間のなかで準備を進めるのは大変でしたね。 入学後、1・2年次は基礎が中心で、比較的スムーズに学ぶことができました。しかし、3年次から広告を専門に選んでからは、日本社会特有の文化背景や価値観を理解する必要があり、課題制作で苦労することも。そんなとき、澤田泰廣先生から「自分だけの武器を持つことが大切」と言われたことが今でも強く印象に残っています。 自分の武器を考えたとき、自然と浮かんだのが欧文タイポグラフィでした。これまでの来歴もあり、欧文が持つリズムなどを直感的に捉えることができると思ったのです。卒業制作では、自分の名前「Raina」をテーマに欧文レタリングの多様なスタイルを展開。就職活動でのポートフォリオとしても活用し、個性とスキルを伝える核となる作品になりました。そのポートフォリオのなかには、「サードカルチャーキッズ(TCK)」をテーマにした広告作品も収録。複数の文化圏で育つ子どもたちの存在や視点を多くの人に知ってもらいたいという思いを込めました。インドネシア出身でありながら幼少期を中国で過ごし、インターナショナルスクールで多国籍文化を身につけた、私自身のルーツと重なる作品です。 就職活動を経て、現在はチームラボでビジュアルデザイナーとして働いています。初めて参加したのは『DMM.プラネッツ Art by teamLab』というアート展。ロゴやグッズ制作、作品展示のビジュアライズなど幅広く担当しました。完成したロゴが実際の展示空間で使われ、来場者の笑顔を見たときの喜びは忘れられません。その後、東京・豊洲の『チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com』のロゴ制作では、★マークの見え方を意識し、文字の微調整を先輩とともに何度も繰り返しました。 展示空間のビジュアライズでは、3Dソフトを用いて視認性や空間バランスをシミュレーション。苔やレンガの配置まで仮想空間で丁寧に設計します。近年はAIの進化に強い危機感もありますが、それでも「自分にしかできない表現とは何か」を探し続けています。技術と感性の両輪を磨き、未来のクリエイティブに挑み続けたいと思っています。 チームラボ ビジュアルデザイナー ロゴやポスター、3Dイメージを通じてチームラボの世界観を形にするテイ・レイナ・ロサリアThe Raina Rosalia
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