『The Symphony Plotter』の演奏解析『The Symphony Plotter』によって生成されたポスター20年グラフィックデザイン卒業ペンプロッターが音を絵に変えていくみやざき・たくや多摩美術大学を卒業した2020年、博報堂に入社。現在はTBWA\HAKUHODOのアートディレクターとして、幅広いプロジェクトに携わる。2025年、企画・アートディレクションを手がけた『The Symphony Plotter』は、「第104回 NY ADC賞」のほか、「Spikes Asia 2025」など複数の賞を受賞した。 世界を意識するようになったのは、国際的な広告賞に参加したことがきっかけです。広告代理店では、若手がコンペで成果を残すことがひとつの登竜門。ヤングカンヌやヤングロータスに出場して、世界中に真剣にクリエイティブに向き合う同世代の人間がいることを知り、視野が一気に広がりました。 グラフィックデザイン科に入学したときから、広告代理店でデザイナーになることを目標に、逆算して動いていました。1年次から大手広告会社のインターンに挑戦。早く実践の現場に触れることで、自分の可能性を試したかったのです。在学中は「もしポスターが動いたら?」とインタラクティブな表現に興味を持ちました。ビジュアルを作るのが上手な同級生がたくさんいたので、別なところで勝負をしなければ、と早々に指針を決められたことは大きかったです。 卒業後は博報堂に入社し、家電メーカー「ツインバード」のリブランディングや味の素の新規事業立ち上げなど、長期的に企業と伴走する仕事を経験しました。2023年からはTBWA\HAKUHODOに出向し、アディダスやマクドナルドといったグローバルブランドの案件を担当しています。社が掲げる「ディスラプション(創造的破壊)」という理念は、“そもそも”を問い直す自分の性分に合っていると感じています。 代表的な仕事のひとつが、日本フィルハーモニー交響楽団の『The Symphony Plotter』です。従来の見立て型ポスターから離れ、音に反応してペンプロッターが踊り、そこからビジュアルを生成する仕組みを考案しました。社内エンジニアと検証を重ね、展示では実機を動かして、コンペでは映像で仕組みを伝える。アイデアから伝達まで一貫して設計した結果、「NY ADC賞」などを受賞することができました。英語は得意ではありませんが、「日本らしいデザインだね」と言われたときに、改めて、言語を超えるクリエイティブの力を確認して、自信にもなりました。 直近の目標はカンヌライオンズでゴールドを獲ること。指標が明確であるほど、日々の仕事も自然と研ぎ澄まされます。辿り着きたい場所を意識して、アンテナを張りながら小さな一歩を踏み出し続けていきたいです。05国際コンペが拓いた世界への道次なる目標はゴールドライオン アートディレクター 言語を超えて人々を魅了する世界で輝く力企画・アートディレクションを手がけた作品が国際的な広告賞「NY ADC賞」などを受賞宮崎也 MIYAZAKI Takuya
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