18年メディア芸術卒業いしかわ・ゆき2018年、多摩美術大学情報デザイン学科卒業後、太陽企画に入社。クラフト力の高い映像制作を得意とし、タカラベルモントのアニメーション『Hair Album』は国内外で高く評価され、多数の広告賞を受賞。企画から演出まで幅広い分野で活動している。『Hair Album』より。髪の毛だけで構成されたキャラクターに、動きや演出で感情が吹き込まれていく『Hair Album』動画 動画コンテスト「BOVA」用に制作した、タカラベルモントの動画『Hair Album』で、国際的なデザイン・映像の賞「D&AD Awards 2022」のクラフト部門でゴールドを受賞しました。テーマは「ヘアサロンで人生が変わる瞬間」。髪の毛を素材にしたコマ撮りアニメで女性の人生を描きました。見る人が楽しいと感じる、かわいらしくてやさしい世界観を映像で表現するのが得意です。この作品は、アニメーターと相談を重ね、線画ではなく人形で表現することに決めました。学生時代の経験が、コマ撮りならではの予期せぬ動きや粗さを表現する際に役立っています。言葉を最小限にし、人形の表情をあえて描かず、髪の毛そのものに感情を託す。その結果、国境を超えて多くの人の心に響く作品になったのではと考えています。 幼少期から『プリンプリン物語』といった人形劇番組に親しみ、高校時代はバンドのMVを繰り返し観るなど、とにかく映像作品に親しんできました。そこで、映像を含む幅広い表現を学びたいと考え、多摩美のメディア芸術コースに進学。在学中は初めて触れたAdobe Premiere Proを使い、映像制作に夢中でした。社会人になると個人的な作品をつく る機会が減るため、学生時代に積極的に創作活動を続けることが、自身の能力向上にとって非常に重要だったと実感しています。また、在学中に非常勤講師の古屋和臣先生の仕事を手伝わせていただいたことも、大きな学びになりました。古屋先生がどんな作品も丁寧に褒めてくれたおかげで、今でも自信を持って作品を生み出せています。その経験が現在の仕事にも活かされていますね。 在学中は映像制作会社でアルバイトをしており、そこに現在の勤務先である太陽企画のディレクターが出向していたことが、入社のきっかけでした。新人時代は先輩ディレクターのMV制作のアシスタントやメイキング映像の制作を担当。現在はディレクターとして出版社やホテル予約サイトなど、多ジャンルの映像コンテンツ制作を手掛けています。 今後は自分らしい手づくり感のあるアニメーション制作にも挑戦していきたいと思います。私の原点である遊び心を大切に、これからも多くの人をワクワクさせる映像をつくり続けたい。そのために作品を通して視聴者と向き合い、クライアントの要望にただ応えるだけではなく、見る人の感覚や楽しさを尊重した質の高い作品を届けていきます。07国際的な賞を射止めた髪で人生を描くコマ撮りアニメ ディレクター 世界最高峰のデザイン・広告賞である「D&AD Awards 2022」など、多数の賞を受賞石川結貴 ISHIKAWA Yuki
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