TAMABI NEWS 103号(生活を潤す道具の力)|多摩美術大学
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05左:KIGIのプロダクトレーベル「ASSEMBLEDISASSEMBLE」のアイウェア『TWOFACE』、右:KIGIとマザーレイクプロダクツによるプロダクトブランド「KIKOF」の器カップの鏡面にソーサーの柄が映りこむD-BROS『Mirror Cup&Saucer』97年テキスタイルデザイン卒業飲み干さないと置くことができない盃D-BROS×KIGI『酔独楽』うえはら・りょうすけ1972年北海道生まれ。2012年に渡邉良重と共に株式会社キギを設立。2024年、「キギと創造株式会社」に社名変更。企業やブランドのアートディレクション、空間ディレクション、プロダクトデザイン、映像ディレクションのほか、アートプロジェクトなどにも参加するなどジャンルに拘らず自在な発想と表現力でクリエイションの新しいあり方を探し、活動している。東京ADCグランプリ・会員賞、東京TDC賞、亀倉雄策賞(第11回)など受賞。 僕の肩書きはアートディレクター、またはクリエイティブディレクターです。個人の活動もあれば、クリエイティブユニット「KIGI」としての活動もあります。花瓶、食器、メガネなどのプロダクトデザインからブランドや商品のブランディング、スイーツブランドのパッケージデザイン、展覧会の空間やグラフィック、CMや動画のディレクション、アート制作など、さまざまなクリエイティブに携わっています。 プロダクトをデザインするとき、機能性はまず頭から外して考えることが多いです。グラフィックデザインを軸に考えるので、コンセプトから発想する場合もあれば単純に視覚的な面白さや美しさから発想することも多いです。『酔独楽』という盃は、飲み干さないと置くことができません。そして、こぼれないようにそっと飲む必要があります。『酔独楽』を使うことで、そうした特別な行為そのものを楽しんでもらいたいという思いがあります。僕にとってプロダクトとは、日常に違和感や発見をもたらすものであってほしい。だから、毎日使われなくても良くて、何か特別な時間を彩る存在であってほしいと考えています。「KIGI」のものづくりは、渡邉良重とふたりでつくることで、発想が広がり、判断が早くなります。ひとりで考えると、どうしても自分の好みに寄せてしまい、地味なものになってしまうけど、ふたり一緒に「いいね!」と言い合えるようなものを考えると、別の視点からもアイデアが生まれ、デザインの幅も広がります。そして多くの人に好まれる方向にデザインは成長していきます。 アイデアを生み出すために必要なことは、毎日考え続けることです。日々のスケッチ、観察、ちょっとした考えを蓄積しておきます。アイデアの方程式、みたいなものをあるとき考えたんですが、それらに当てはめていくことで、制作に勢いがつきます。「アイデアは降りてくるもの」と言われますが、何もないところからは生まれません。考え続けることで降ってくるのです。 ものづくりの楽しさは、大学時代に培われたものです。テキスタイル科にいながら、本当はグラフィックの勉強がしたかったので、自分のつくりたいグラフィックをテキスタイルに変換しながら制作を楽しんでいました。課題提出後の講評の時間に、褒めていただけたことも自信につながりました。違和感がひらめきを生む“便利”を超えたプロダクトの楽しさ KIGI/クリエイティブディレクター・アートディレクター 道具はただ便利なだけではなく特別な時間を彩る存在であってほしい植原亮輔 UEHARA Ryosuke

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