TAMABI NEWS 103号(生活を潤す道具の力)|多摩美術大学
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06受注生産で手仕事でつくられるイイダ傘店の傘傘のデザインと同じ柄の布製品も手掛けている04年テキスタイルデザイン卒業 最初に傘をつくったのは卒業制作でした。当時は仕事にしようなんて思ってもいなくて、授業で学んだテキスタイルの表現を傘の形にしてみたくらい。6本つくりましたが、アート作品寄りの“使えない傘”でしたね。 卒制の事前チェックのプレゼンで先生たちに「傘はやめときなさい」と言われたことは、いまでも覚えています。布だけじゃなくて、骨や金具も扱う工業製品だから、卒制にはハードルが高いと。でも、天邪鬼な性格の僕は「だったらやろう」と思いました(笑)。 実際に制作に取り掛かると、先生たちの懸念は的中、つくり方がまったくわからない。何軒もお店を回って、唯一話を聞いてくれた傘屋のおばあちゃんのところに通いながら、つくっては見せてアドバイスをもらう日々。押しかけ弟子みたいな感じでしたね。同時に、傘骨で協力してくれるメーカーさんとも出会えて、どうにか卒制を完成させました。そのときにできたご縁は、今もずっと続いています。 僕がテキスタイルデザインを専攻したのは、予備校時代の先輩の影響と、高校時代に手芸キットでTシャツを染めたり、体育祭のクラスTシャツをつくった経験が大きいです。 卒業後は同級生とデザイン会社を立ち上げたのですが、そのときに皆川魔鬼子先生からいただいた「下から上がっていくんじゃなくて、トップから行きなさい」というアドバイスがすごく印象に残っています。小さくコツコツ積み上げるよりも、ダメもとでいいから自分の好きなところ、大きなところに飛び込めと。当時はピンときませんでしたが、デザイン会社を抜けて自分で傘の仕事を始めるときに、「傘はやめときなさい」と言われて挑んだ卒業制作 傘作家 お客さんに面白がってもらえてイイダ傘店の世界観ができてきたイイダヨシヒサ IIDA Yoshihisa

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