TAMABI NEWS 104号(アニメーションだからできること)|多摩美術大学
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フランスの映画祭『Festival du fi lm de fesses』のティザーアニメ 日清カップヌードルのCM「具がスキスー」篇にも起用される アニメーションをつくっていて一番楽しいのは再生ボタンを押した瞬間です。自分の描いた線がヌルヌルと動き出す。あのときの「気持ちいい!」という感覚が原動力です。『たこやきストーリー』というMVを制作したとき、普段は1秒12枚や24枚のところを30枚の設定にしてしまい、描いても描いても終わらない作業に追われました。でも完成した映像は、異様なほどヌルヌル動いていて、すごく気に入っています。私は、描けば描くほど面白くなると思っているところがあって、子どもみたいですが、たくさん動いているほうが単純に楽しい。だから、止まっているシーンがあまりないように意識していて、それが結果的に自分の作風になっている気がします。 私の作品にはよく「お尻」が出てきます。小さいころから『クレヨンしんちゃん』が好きで、ラフにお尻を出したり、どうでもいい日常をそのまま面白がる感じにずっと惹かれていました。私自身、インスピレーションは日常から得ることが多くて、友達と一緒に食べたご飯や、そのときの悩みなどを日々メモしています。特にネガティブな感情がきっかけになることが多いですね。ただ、実際につくるときは、あまり決めずに始めます。絵コンテをきっちり固めると、作業になってしまって面白くない。自分が楽しいかどうかをとても大事にしているので、その場で動かしながら即興的に作ることが多いです。 在学中、担当の先生から「海外のほうが受けそうだね」 と言われたことが印象に残っています。卒業制作『肛門的重苦 Ketsujiru Juke』がアヌシー国際アニメーション映画祭に選ばれたとき、海外の観客は笑ったり声を出したりしながら観てくれて、その通りだったなと思いました。 アニメーションとの出会いは2年次の必修授業。作画を紙に描くアナログ手法で始め、2018年まで続けました。編集や着色もPhotoshopとAfter Effectsだけで、当時から制作は基本的にひとり。最初につくったときは、楽しかったけれど本当に大変で、「もう一生やりたくない」と思いました。多摩美に入って先生が卒制を国際映画祭に出してくれなかったら、間違いなく私は今やっていないと思います。何枚も描く作業は、つらくて孤独です。でも、アニメーションには実写ではできない感覚や状態を、そのまま描いて動かせる自由さがあります。そして再生ボタンを押した瞬間、自分の線がヌルヌルと生き出す。その“気持ちよさ”という報酬を目当てに、私はこれからも描き続けるんだと思います。ご自身がお気に入りの作品1980YEN『たこやきストーリー』Short MV初めて受注制作した菅原信介『MASTER BLASTER』描いた絵が、再生ボタンを押してヌルヌル動き出す気持ちよさアーティスト/アニメーター/イラストレーター 海外で賞を受賞するほか多くのCMやMVも手がける Instagramで国内外で評価されている『freshness』16年大学院グラフィックデザイン修了▲『たこやきストーリー』MVかぶき・さわこ多摩美術大学在学中からアニメーションの制作を開始し、世界4大国際アニメーション映画祭をはじめ各国の映画祭でノミネート・受賞。『COURRiER Japon』による「2023年に世界が注目した日本人100人」に選出される。CMなど企業とのコラボレーションも多数。現在はニューヨークを拠点に活動している。04実写ではできない感覚的な動きが可能にする日常から派生した止まらない世界冠木佐和子 KABUKI Sawako

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