TAMABI NEWS 75号(早稲田大学×多摩美連携特集)|多摩美術大学
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TBWA\HAKUHODO=博報堂とTBWAワールドワイドのジョイントベンチャーとして設⽴された総合広告会社。徳野さんは 2013 年より博報堂から出向中。﹃注⽂をまちがえる料理店﹄ 。たとえ注⽂を間違えても、 クスッと笑って許して しまうような、 MR技術を活造形を考え続けた経験が「肌感覚で想像できる能⼒」に。ニケーションする場所が、イベ ントやプ ロ モ ー ションであったり、ネットやスマホといったテクノロジーの進化も加わり、その領域は⾮常に多岐にわたります。 こ れ か ら は 前 述 し た よ う な 狭 義 の 広 告 グ ラフィック 制 作 に とど ま ら ず、さまざまな⽅向性でのクリエイティブチャンスがさらに広がっていきます。そんな時代には造形⼒に裏打ちされた上で発想⼒を併せ持つ美 ⼤⽣のクリエイティビティに対する期待はとても⼤きいのです。例えば 2015 年に話題となった『ちゃんりおメーカー』。制 作したチ ーム の ⼀⼈は多摩美の卒業⽣です。「サンリオピューロランド夏の集客プロモーション」として⼿ 掛け、「Yahoo! JAPANインターネット クリエイティブアワード 2015」のグランプリを受賞しました。これが単にビジュアルデザインだけでなく、「サンリオピューロランドの動員に貢献する」という⼀連のミッションで取り組まれたように、多くの案件でコミュニケーションデザインを扱う能⼒が求められています。博報堂は粒ぞろいより粒違い、多種多様な才能を持つ⼈材じ、さらに造 形⼒、クラフト⼒が 秀でている印 象 があります。⼤学ではその⼒を⾝につけるために、造形を繰り返し、考え悩み続けてきたことでしょう。そういう経 験 は「⼈がどう感じるかということを肌感覚で想像できる能⼒」につながっていると思います。CMでもゲームでもイベントでも、⼀⼈の⽣活者がそれに接した時「どう感じるか」を想像するセンサーが組み込まれている⼈材は、博報堂という、世の中と対話するための装置を作り出す会社にとって、コアで貴重な才能だと思っています。多摩美での学びは、その才能の源泉と⾔えるかもしれませんね。株式会社博報堂 = 広告会社。企業フィロソフィー に「⽣活者発想」と「パートナー主義」を掲げる。制作部⾨に強く、多数の世界的受賞作品ほか著名クリエイターを輩出する。●広告第三クリエイティブ 局 エグゼクティブ・クリエイティブ ディレクター⽶村 浩さん博報堂に在籍する美⼤卒⽣の中で、多摩美の出⾝者はとても多いと思います。以前は広告と⾔えば、テレビ CMと新聞広告、駅貼りのポスターなどが代表的でした。でも最近は⽣活者とコミュが集まっていますが、中でも多摩美⽣は「就職して世の中と勝負したい」というマインドを強く感いうネガティブなことを、楽しいことにマインドチェンジしたいと考えました。ロゴのデザインにもそんな気持ちを込めています。また、リハビリをサポートするペダル付きの⾞いす『COGY』は、「あきらめない⼈の⾞いす」として、ネーミングからコミュニケーションデザインまでトータルでリブランディングをしました。この仕事では「2017 ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」クリエイティブイノベ ーション部⾨のグランプリや「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル 2017」など、多くの賞を頂きました。デザインの持つコミュニケーションの⼒で思いを世の中に広げていきたい。これはずっと意識していることです。⼤学 3 年の時、CM の授業で出来⽴ての資⽣堂 CM『あたらしい私になって』を⾒せられた時、泣いちゃって(笑)。広告の⾯⽩さと可能性を感じ、これが広告の世界を意識した⼀件でした。僕は臆病なんです。伝わらないことに敏感で、だからこそ、デザインでも⾔葉でも、絶 対 わかりやすく伝えたいと思っている。思い返せば、多摩美で課題に取り組み、⼈の⽬にさらされ、「全然伝わらないよ」と怒られながら(笑)培われた経験が、今に⽣きています。⼀⽣懸命やったことが否定されると、恥ずかしいし落ち込みますよね。でも、それが良かった。後輩にも、ダサいとか恥ずかしいとか思わなくていいから、とにかく⼀⽣懸命やろう、と伝えたいです。それでもやりたいと思えれば本物ですから。TBWA\HAKUHODO*  Head of Art Disruption Lab クリエイティブチーム アートディレクター徳野 佑樹さん(2007年│グラフィックデ ザ イン 卒 )『ファイブミニ』や『ナツイチ』、『ピュレグミ』など、マス広告のデザインを担当しています。マス広 告以外のプロジェクトの 例 で は 、認知症の⽅が働く『注⽂をまちがえる料理店』があります。間違えるとレ原宿のグランバザールや、カンヌ・グランプリの⽇清カップヌードル『hungry?』の頃です。⼤貫さんはグラフィックやCMだけでなく、ボトルキャップから映画まで、何でもやる。その「⽬的達成のために、あらゆる領域をデザインする」姿勢に強く影響を受けて、⾃分もグラフィック、CM、ウェブ、スマホ、デバイス開発など、キャリアを転じながらあらゆる領域を⼿掛けるようになりました。さらに受託だけでなく、⾃分たちのアイデアを⾃分たちでカタチにするために4年前に「スダラボ」を⽴ち上げました。京都・建仁寺の『⾵神雷神図屏⾵』を最新のMR 技術で鑑賞体験する施策が、その最新作です。在学時に、複数のテーマから⾃由に選んで「何かを作ってプレゼンする」という、⼀⾵変わった授業がありました。ここでひたすら発表を繰り返す内に「ウケる」「スベる」が肌でわかるようになった。⾃分のアイデアを、他⼈の⽬で客観的に⾒るクセが⾝についた。この体験で、アイデアだけは誰にも負けない⾃信を持って、当時の就活にも挑めました。なので、多摩美の皆さんには、今やりたい何かをとことん追求しろ!とだけ⾔いたいです。学⽣時代にそれをしないと、社会に出てからも何者にもなれない。追求するものは、ぶっちゃけ何でもいい。 今やってることが 未 来にどうつながるかは、結局、誰にもわかりません。だから今、夢中でやるしかないんです。ビジネスインキュベーション局 スダラボ主宰  エグゼクティブ・クリエイティブディレクター須⽥ 和博さん (1990年│グラフィックデ ザ イン 卒 )多摩美の教授でもある⼤貫卓也さんが博報堂時代に⼿掛けられた「としまえん」の広告が予備校⽣の頃から⼤好きで、その憧れが⼊社のきっかけです。数年間、チームの⼀員でした。ラフォー10造形⼒、クラフト⼒に秀でた多摩美だからこその広 いクリエイティブ⼒に期 待します。 「全然伝わらないよ」と課題で怒られながら培われた経験が、今に⽣きています。⼤貫卓也教授に影響を受けて、広い領域を⼿掛けるように。博報堂

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