TAMABI NEWS 75号(早稲田大学×多摩美連携特集)|多摩美術大学
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Johanna Keimeyer撮影=5同じプロジェクトの中でも、専 ⾨ 的な分野には専⾨外の⼈は⼊れません。ですが、デザインに関してなら、誰もが意⾒できる。だからこそ、チームで何かプロジェクトを⽴ち上げていく時、「デザイン」がチームのまとまりの場になる。デザイナーは、異 分 野の⼈たちを真ん中でつなげることが できる⼒を持っているんで す。様々な分野を横断し、集 合させられる、それがデザインなのです。また、デザインには絶対的に技能が必要というわけではありません。ちょっとした絵の描き⽅やロジックなどは理屈で教えられることも多く、特に理⼯系の⼈には理解しやすいかも。そういう意味では、理 系の学⽣で何かを作りたいと考えている⼈には、デザインという⽅向もあることを知ってほしいで す ね。ラピッドプロトタイピング(P3参照)について⾔えば、精 度が⾼いことは望ましいですが、何も⽴派に作ることが重要ではない。⼀番⽬的に合った⽅法を⾒出すことが重要で、正解はない。それを早稲⽥の学⽣たちに伝えれば、彼らは考える⼒を持っているので、「あ、そうか」と気付くでしょう。⽴派に作ることではなく⽬的に合った⽅法を⾒出すことが重要⽯鹸を削って造形する「⽯鹸スカルプチャー」の他、アルミホイルで作った形を撮影し、タブレットに取り込んで修 整や加 ⼯をする⼿法なども紹介。特別な技術がなくても、誰でも⾝近な素材で、⼿軽に作れるという実例をご覧ください。実際のラピッドプロトタイピングを安次富教授が動画で実演クリエー ションとはアウトプットな の で、出していく勇気がなければ成⽴しません。チャレンジしないと。デザインとは⾮常識を常識化させることで未来に向かうもの、初めてのことばかりなのですから。講座後に多摩美の学⽣に感想を聞くと、「チーム内のモチベーションを上げ楽しく意⾒を交わそうとするが、思うようにい か ない」と困惑していました。多摩美では意⾒を出しぶつかり合うのが当たり前だけど、それが当たり前ではなかったということでしょう。でも、それでいいのです。メンバ ー の特性を⾒抜き仲間を作っていくの は デ ザイナ ー の得意分野だから、そういうことをやればいい。逆に、数 字のことや考えて⽂章をまとめることなど、普段学べないことを学べばいい。また、課 題を進める中で「そんなに簡単に決定を下していい の か?」と疑問を持った学⽣もいました。でも、他の学⽣からすると、スピード重視かもしれないし、彼がずっと同じ問題に⽴ち⽌まっていると感じたかもしれない。価値観の違いですよね。そんな彼らも次の回に⼤学の枠にとどまっている時代ではない。互いに⾏き来し合うように なるの が 理 想写真=安次富教授考案のプロトタイピング⼿法「⽯鹸スカルプチャー」(下参照)プロダクトデザイン専攻 安次富教授インタビュー          早稲⽥⼤学の教員陣に、確かな⼿応えとビジネスシーンへの期待を語って頂いた本講座「ビジネスアイデアの『表現⼒』を鍛えよう!」。実施にあたり、プログラム作りに携わり⾃⾝も講師を務める安次富教授に、早稲⽥⼤学と組んだ意義についてお話を伺いました。安次富 隆(⽣産デザイン学科プロダクトデザイン専攻教授) プロダクトデザイナー。1985 年デザイン科⽴体デザイン専攻(現プロダクトデザイン専 攻 )卒業。1985 年ソニー株式会社デザインセンターを経て、1991 年有限会社ザートデザインを設⽴。総合的なデザインアプローチを⾏う。プロダクトデザインの研究室では最新機器を多数所有しており、学⽣は講習を受ければ⾃由に利⽤しながら、技術を⾼めることができます。( 左=樹脂素材の 3Dプリンター、左下=⽯こう素材の 3Dプリンター、右下=真空成型機)は皆打ち解けていましたから、やはり何か乗り越えていっているんでしょう、お互いに。今は、もう⼤学の狭い枠の中にとどまっている時代ではない。今回の講座が終わっても互いに相談や遊びに⾏き来し合うようになるのが理想です。ベンチャーキャピタル(投資会社)でもある堤先⽣や飯野先⽣が、学 ⽣の作品を⾒て「出資したい」と評価され、こちらも驚きました。この講座の最終発表時には、島 岡 先 ⽣えりすぐりの⽅だという、ベンチャーキャピタルの⽅が3名来られて学⽣らのプレゼンをご覧になることになっていますが、正 直この講座は、現 代 社 会にインパクトを与えるぐらいのものだと思っています。もし学⽣たちの提案するプロダクトやサービスが具体化されれば、世界的にもアピールできるのではないでしょうか。今は両校お互いに驚き合っている期間ですが、ぜひこの関係を育て、続けていきたいですね。さらにプロトタイピングの精度を⾼める最新機器既存の価値観を変え現代社会にインパクトを与える講座にしていきたい

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