TAMABI NEWS 79号(課題発見力・漫画家特集)|多摩美術大学
8/16

■TOPIC8 NGOとの連携事例 2017.07〜│連携学科=プロダクトデザイン〈大橋由三子教授〉 地方自治体との連携事例 連携学科=環境デザイン〈岸本章教授、枡野俊明教授、橋本潤准教授〉ターの打田郁恵氏、慶應義塾大学政策・メディア研究科のラジブ・ショウ教授や学生、企業の方などが見学に訪れました。今年度も5名の学生が、ATIHから提示されたバングラデシュのスラムと丘陵地域の問題に取り組んでおり、現地NGOの計画する来年6月の実施目標に向けて、取り組みが進められています。「ATIH国際協力プロジェクト」とはATIHはADRRN東京イノベーションハブの頭文字で、アジアにおける難民問題や災害問題に取り組む防災・医療系NGOのネットワークハブ(相互につなぐ役割の団体)です。本学は昨年度よりATIHと連携し、東アジア各地で取り組む現地NGOと共に実際の問題に対し、直接コミュニケーションをとりながら具体的な解決策を提案しています。ます。昨年は5名の学生がネパールやインド、フィリピンなどが抱える課題に取り組みました。この中で高山直人さん(18年卒)は、オーストラリアにおける難民の就労支援として、若年層の独り立ちをサポートするスマホアプリを提案。提案にあたっては、現地NGOとビデオ会議を行い、上智大学で行われた国連難民高等弁務官の講演を聞くなどして難民の心理や状況を把握し、設計に生かしました。この経過発表では他のメンバーと共に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス総合政策学部の授業に参加し、意見交換を行いました。「課題発見の手法だけを比べても、ひとつのテーマに対してまず情報収集から入る慶應大生と、最初に解決のビジョンを持って話し合いから入る多摩美生との差が印象的でした。また、慶應大生の合理的な提案の一方で、多摩美生は人の気持ちに寄り添って意見するなど、良い刺激を与えあう場となりました(大橋由三子先生)」。提案は学内に展示公開され、ATIH主席コーディネー地域の課題解決に自治体からの依頼が増加国内全体の課題である地域活性・地方再生は、特に重要なテーマの一つ。本学側からの提案だけでなく、年々自治体から本学への共同研究や提案の依頼が増えており、環境デザイン学科では、東京都八王子の商店街活性化を目的としたとコラボプロジェクトや、使われていない鉄道高架下の空間デザインなど、これまで数多くの自治体や地域企業と協力して提案してきました。その一例に、今年5月より東京都町田市からの依頼で3年生全員84名が参加して取り組んだ「まちだ・環境の近未来」があります。「町田市の環境からその問題点を探り、より良くなるような環境デザイン」をテーマに、10名ずつのグループに分かれて提案しました。町田市全域の中から対象地を選び、現地視察や調査を通して各々のテーマを設定し模型などを使って町田市役所の方々にプレゼンしました。風景を生かし、不便さを魅力に変える奈良県奈良市「ならまちプロジェクト」は、今年4月より4年生有志8名が参加。「歴史と伝統は何を根拠にどのようなデザインとして表現するべきか」まで思考を掘り下げ、現地視察のほか奈良まちづくりセンター理事長や関西大学・森隆男名誉教授(民俗学・文化人類学)にレクチャーを受けながら、住民が気付いていない魅力と改善箇所の発掘を行いました。「ならまちの入り口としての情報館周辺の整備」や「町家暮らしの新しいあり方を提案する集合住宅」など各々の提案が完成し、6月に「奈良町にぎわいの家」でパネル展示。地元の方も見学に訪れました。また宮崎県日南市からの依頼でスタートし、来年1月の発表を目指す「飫肥まちなみ再生プロジェクト」に、3、4年生の有志8名が参加。地元で「観光周遊ルートを考える」課題に取り組む高校生とワークショップを行うなど、そこに住む若者たちの目線を取り入れながら、課題発見に取り組んでいます。ほか、矢野香澄さん(18年卒)が3年生のときから独自に取り組んだ神奈川県横須賀市「やとみちプロジェクト」のように、こうしたプロジェクトを通して得た経験や学びを生かして、自らが発見した課題に対し、卒業制作として解決提案を行った例もあります。異なる専門分野の知見を得ながら提案昨年度より、「ATIH国際協力プロジェクト」として、アジアにおける難民問題や災害問題などに取り組んでいNGOから示された発展途上国問題への取り組みA■■TIH国際協力プロジェクト地域や国の魅力を引き 日本各地における環境問題の抽出と解決町田市、日南市、奈良市  

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る