TAMABI NEWS 81号(ゼロからイチの発想力特集)|多摩美術大学
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©2017 Tsukuru Lab©2017 Tsukuru Lab「どうやったら、みんなが驚いてくれるか。 それが僕の発想の原点です」5方が多くなり約90名が参加しています。数多くの大会で連続して受賞したこともあって、メンバーのモチベーションも上がっていきますし、専門分野の異なるメンバーと一緒に活動することで、お互いの領域の理解度が高まってスキルアップにもなる。もちろん、自分の専門分野もすごい速度でスキルアップします」グループワークの重要性を 気づかせてくれた卒業制作 ハッカソンに参加する際のメンバー構成によって、デザインやプログラミングを担当することもあるが、衣斐さんの主な役割はプランニングとプレゼンテーション、そしてメンバー間のまとめ役だという。「僕が考えたアイデアであっても他のメンバーのアイデアであっても、それを作品化する時に意識するのは『どう料理したら、みんなが驚いてくれるかな』ってこと。そこが発想の原点になっていますし、いろんな意見が出た時に何が一番正しいかをジャッジする軸が、そこにありますね。だから、時には捨てる勇気も必要ですが、その判断を下すためにも軸があると強いかもしれない」 衣斐さんの発想の原点である「みんなを驚かせたい」という思いは、大学受験時にも発揮された。「高校では理系の大学に進む人が多かったので、このまま理系に行っても誰も驚かないぞと思って『よし、美大だ』と。当時、デッサンなし入試(デッサンの代わりに数学を選択する入試方式。2001年度まで情報デザイン学科で実施)があったのでデッサンは描けないけど数学なら100点が取れるぞと■の自信で受験して、入学したのはいいけれど、周りを見たら、みんな絵が上手い。『俺、数学できるもんね』キャラでいくしかないなと思って。そんな時にJavaを使った授業があり、自分でも本を買って勉強していくうちにプログラミングの面白さにハマりました。小学生の頃からRPG制作ソフトを使ってプログラミングをやっていましたが、本当の面白さを知ったのは多摩美に入学してからでしたね」 卒業制作は同期生3人との共同制作だったが、この時の経験が社会人になってから生きたという。「社会に出たらグループワークが中心になるので、まさに卒業制作と同じ状況が続くわけです。一人で何でもかんでもできるわけではない。分業の重要性が分かるようになると、相手をリスペクトする大切さも分かります。卒業制作で共同制作を行った経験は、そのまま社会でも役に立つ経験だったと感じます」つくるラボ代表衣斐 秀聽04年情報デザイン卒※1 デジタル工作機器を利用できる共創可能な場 ※2 エンジニアなどがチームを組み、短期間でシステムやアプリケーション、サービスなどを開発して競い合うイベント上=「ROHM OPEN HACK CHALLENGE 2017」にて最優秀賞を受賞したデバイス『ダンナダッシュ』は、忙しい奥様の家事にかかるストレス軽減をコンセプトに開発。8つ用意された注文ボタンのどれかを奥様が押すと、旦那様が携帯するダッシュキーホルダーが振動し、注文情報が表示される。あとは奥様の要求に応じて、旦那様が買い物をして帰るだけ。左=「Yahoo! JAPAN Hack Day 10th Anniv.」にて、最優秀賞とHappy Hacking賞を受賞した『撮るだけユーチューバー』の再生画面。撮影した動画を約10秒でデザインされた字幕付きの動画に自動編集するソフトウエア。Ibi Hideki 株式会社東芝デザインセンターで、共創センター推進を担当 兼 東芝デジタルソリューションズ株式会社で、コミュニケーションAI『RECAIUS™』の販売促進を担当。プライベートでは、ものづくりサークル『つくるラボ』の代表を務める。異なる技術を持った人たちとの 共同作業が自分のスキルをアップさせる 衣斐さんが代表を務める、ものづくりサークル『つくるラボ』は、自身が働く企業に、オープンイノベーションの場としてのメイカースペース(※1)を導入することを目的として集まった団体だ。メイカースペースの有用性を見極めるために、企業も専門分野も異なる社会人が、ハッカソン(※2)に参加したり、他社のメイカースペースを活用しながら自由にものづくりを行っている。2017年に28件のハッカソンに参加し、22件の賞を受賞。日本最大のハッカソン「Yahoo! JAPAN Hack Day 10th Anniv.」では、衣斐さんのチームが開発したAIを利用した動画の自動編集ソフト『撮るだけユーチューバー』が最優秀賞とHappy Hacking賞をダブル受賞するなど、趣味のサークル活動ではあるが各方面から注目を集めている。「僕はデザインはもちろん、プログラミングもできるし、ハードウエア開発も多少はできる。自分で何でもできると思って、2013年頃から一人でハッカソンに出るようになったんです。ところが、出てみたらさまざまな専門分野ごとに優れた技術を持つ人たちがゴロゴロいた。そういう人たちと組めば、僕が1カ月かけて作ったものが1日で作れる。だから一緒に作業できる場所や技術の交流が重要ではないかと東芝社内の人間を募って立ち上げたのが『つくるラボ』です。現在では社外のメンバーのものづくりサークルを主宰し、ものづくりサークルを主宰し、斬新なアイデア作品で斬新なアイデア作品で次々と受賞次々と受賞

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