TAMABI NEWS 87号(日本画の伝統を超えて自由な発想が生まれる理由)|多摩美術大学
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■タマビDNA■が切り開く卒業後の多彩な進路自由な発想力や鍛えられた表現力が、卒業後の活躍の場を広げています。画力を生かし、スタジオジブリやユーフォーテーブルなどの人気アニメーションスタジオで背景美術として活躍したり、妖怪ウォッチのキャラクターデザインなどを《播種》 2021年 各72.8×72.8cm 3枚組谷保玲奈(2012年修了)神奈川県横須賀市に在住し、身近に目にする海洋生物や植物などをモチーフに、自然から得る感動をテーマに作品を描く谷保さん。小学1年から中学2年までドミニカとボリビアで約6年間を過ごすというユニークな経歴を持つ。次世代を担う新進気鋭の若手作家として注目され、第8回東山魁夷記念 日経日本画大賞(2021年度)他、受賞歴も多数。日経日本画大賞受賞に関する記事はQRコードからご覧いただけます。《ひむろ》 2014年 181.5×113.5cm杉岡みなみ(2016年修了)海や水に関連した作品を多く手掛けてきた杉岡さん。日本画の素材の特質を熱心に研究し、試行錯誤を重ねながら到達した表現手法が評価されています。創作活動と並行して、2021年4月、目黒区中目黒にオープンしたギャラリー『ヘルツアートラボ』の立ち上げや運営にも関わり、展覧会や造形講座など、さまざまな角度からアートの魅力を発信中。生み出したり、コロプラやコナミなどのゲームメーカーで3Dデザイナーやゲームデザイナー職に就いた卒業生も。また、絵画やグラフィックの作画補修、フィギュア造形補修といった美術系技術者になる人も多く、大学の学びの中で培った技術や感性を生かして、さまざまな分野の第一線で活躍しています。『タマビDNA』とは時代を超えていく力。その壮大な系譜は現在進行形です。《八犬伝̶DF》 2019年 182.0×546.0cm 千葉大二郎(2014年卒業)平面作品を中心に創作を手掛ける傍ら、アートプロジェクト『硬軟』としてパフォーマンス活動を行うなど、多岐にわたるメディアで精力的に活動する千葉さん。本作は、5メートル超えの大作。独自の解釈で日本画の「今」とその無限の可能性を探る若手作家の一人です。《ホロースケヤー3》 2020年 100.0×240.0cm 並木夏海(2015年卒業)街の風景や反復した形を、主に岩絵具を使って和紙やアクリル板などの上に表現。グラフィカルで現代的な作品を次々と生み出しています。本作は、無機質な消波ブロックをテーマにしながら、岩絵具によるスモーキーな色味を生かしたもの。平面にとどまらず立体作品にまで創作の幅を広げる並木さんの、日本画とデザインを融合させた斬新な取り組みに期待が寄せられています。《みてる人 16》 2015年 53.0×41.0cm  三毛あんり(2014年修了)鏡や写真、他人の目に映った自分の像を変形させ、「自画像」として描き出す三毛さんは、現代美術の領域で肖像画を発表しています。本作は、大学院修了時から現在まで継続して描いてきたシリーズ作品の一作。和紙、膠(にかわ)、水墨、岩絵具といった日本画の素材と技法で創作することにこだわり、独特の世界観を表現しています。日本画の素材の特徴とその表現方法を追究自然観察を重ね、自らの作品と向き合う《凛然》 2010年 145.5×72.7cm  堀江栞(2014年卒業)動物や人をモチーフに作品を描く日本画家。自然観察を重ね、思うままに描くことを大切に自らの作品と向き合います。第26回五島記念文化賞美術新人賞(2015年)を受賞し、奨学生として1年間パリで滞在制作を行い、帰国後、国内で幅広く活躍中。第8回東山魁夷記念 日経日本画大賞受賞日本画の素材と技法にこだわり自画像を描く多岐にわたるメディアで精力的に活動日本画とデザインを融合させた斬新な創作過去から受け継いだ遺伝子は、現在に至るまで多様な展開を遂げ、日本画をベースにしながら幅広い領域で活躍するアーティストを次々と生み出しています。12時代を超えて躍動する『タマビDNA』卒業生たちの活躍

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