TAMABI NEWS 88号(持続可能な社会の実現に向けて)|多摩美術大学
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ぼろ氷室友里 (11年卒業・大学院13年修了/株式会社 HIMURO DESIGN STUDIO ) 卒業制作「ルワンダのラグマット〈風土に根ざすものづくりの研究〉」 バナナ繊維大友真希 (04年卒業/多摩美術大学 芸術人類学研究所)卒業制作「ここではない地球と太陽の関係を記録する」麻、菖蒲の葉(左)ウガンダ共和国カンパラでのワークショップ  姫田亮(09年卒業/スズキ株式会社)(右)ルワンダ共和国キガリのバナナ農園06地球環境・貧困問題とテキスタイルを連携させたプロジェクト 布は人々の生活と共にあり、風土に根ざした素材と染織技術によって発展して 布は人々の生活と共にあり、風土に根ざした素材と染織技術によって発展してきました。テキスタイルデザインは、そうした歴史的背景をもつ領域です。本専攻きました。テキスタイルデザインは、そうした歴史的背景をもつ領域です。本専攻の学生は繊維に関する知識を深め、布の機能や文様の役割・色彩の力などを学びの学生は繊維に関する知識を深め、布の機能や文様の役割・色彩の力などを学び新しいテキスタイルを創り出し、どのように社会と関わるかを学んでいます。新しいテキスタイルを創り出し、どのように社会と関わるかを学んでいます。 環境問題について包括的に考えモノづくりを進めることを求められる現代で 環境問題について包括的に考えモノづくりを進めることを求められる現代では、循環型資源について研究することは大変重要です。99年にハイチ共和国では、循環型資源について研究することは大変重要です。99年にハイチ共和国で日本政府やJICAの支援でバナナペーパーの開発が始まり、さらに汎用性の高い日本政府やJICAの支援でバナナペーパーの開発が始まり、さらに汎用性の高い織布制作の要請があり、テキスタイル教育の実績と伝統染織からの知見を生か織布制作の要請があり、テキスタイル教育の実績と伝統染織からの知見を生かした研究・活動が『バナナ・テキスタイル・プロジェクト』です。した研究・活動が『バナナ・テキスタイル・プロジェクト』です。 バナナ農園では、収穫後にバナナの偽茎部分を伐採することで、根元の発芽を バナナ農園では、収穫後にバナナの偽茎部分を伐採することで、根元の発芽を促し、新たな果実を収穫します。大量廃棄され未利用だった偽茎から繊維を抽出、促し、新たな果実を収穫します。大量廃棄され未利用だった偽茎から繊維を抽出、織布や紙、ボードなどの素材・製品作りを研究しました。バナナ糸の製法は、同じ織布や紙、ボードなどの素材・製品作りを研究しました。バナナ糸の製法は、同じ芭蕉科の植物としての類似点に着目し、沖縄の伝統織物「芭蕉布(ばしょうふ)」芭蕉科の植物としての類似点に着目し、沖縄の伝統織物「芭蕉布(ばしょうふ)」にならい研究をはじめました。熱帯地方のバナナ生産国の多くが貧困問題を抱えにならい研究をはじめました。熱帯地方のバナナ生産国の多くが貧困問題を抱えていたため、雇用創出が一つの目標であり、バナナ繊維を利活用した途上国支援ていたため、雇用創出が一つの目標であり、バナナ繊維を利活用した途上国支援テキスタイル文化には伝統的に天然素材から糸と布を作り、端切れや襤褸を再生するモノづくりがあり、環境問題を考え持続可能な社会を築くための示唆を得ることができます。テキスタイルデザイン専攻の『バナナ・テキスタイル・プロジェクト』(2001-16)はそのような取り組みの一つです。バナナ生産国で大量廃棄され未利用だったバナナの偽茎から新たな素材を開発し途上国支援に尽力しました。本専攻に受け継がれる教育と成果について、川井由夏教授と辛島綾准教授にお話を伺いました。CASE.2素材からのアプローチ  Material approach人々の生活と共にあるテキスタイルから学び持続可能な社会を探究する

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