TAMABI NEWS 89号(世界基準を、超えていく。)|多摩美術大学
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Connecting Woolはノルウェーの公的機関である教育国際協力センターの助成を受け、人物相互派遣を通じて国際交流を促進する「SIU-UTFORSKパートナーシッププログラム」で採択されたプロジェクトです。プロダクトデザイン専攻の濱田芳治教授(Studio3担当)とテキスタイルデザイン専攻の川井由夏教授(Studio3担当)を中心にプロジェクトに参画し、テキスタイル・インテリア・ファニチャー・ファッション・アートなど、さまざまな領域が協働しながら進めることで、両校の国際交流をさらに深めることも意図されています。2018年10月に共同ワークショップ・Joint Studio1『RAW』では、プロダクトデザインとテキスタイルデザインの学生と教員がノルウェーに渡航し、オスロ芸大のメンバーと共にワイルドシープの繁殖地にある沿岸景観保全と地域文化に関する情報センターに滞在し、ワイルドシープや自然観察、羊毛関連企業や紡績工場などでフィールドトリップを実施しました。両校の学生でペアを組み、オスロ芸大のスタジオでディスカッションや素材研究・実験を行いました。最終日にはサポート企業の方々やオスロ芸大教員の方々を前に、英語で研究結果のプレゼンテーションを行いました。 2019年のJoint Studio 2『TECH』では、3月にオスロ芸大からプロジェクトメンバーが来日し、全員で群馬県桐生市の織物工業や刺繍工場、伝統的な和紙工房などを訪問しました。その後、八王子キャンパスで集中ワークショップを実施し、各チームに分かれてディスカッションと実験を行い、ウール活用を探求しました。その研究発表は、在日ノルウェー大使館で実施し、ノルウェー文化に精通するファッションジャーナリスト、ノルウェーデザインを発信しているブランド関係者など多数の専門家を前に、各チームそれぞれがフィールドリサーチで得た視点に基づくウールの活用を提案しました。参加したテキスタイルデザインの学生からは「言葉の壁からコミュニケーションの難しさを痛感したが、相手が伝えようとしていることは理解できるようになった。デザインという共通言語によるつながりを感じた」、プロダクトデザインの学生からは「イメージを立体的に説明できることが自分の強みだと客観的に知れた。新たな素材に出会えたことは大きな収穫となった」といった声が聞かれました。 コロナ禍を受け2020年度と2021年度は中止となりましたが、2022年秋にオンラインでの交流、2023年春には東京、秋にはオスロでの研究発表が予定されています。2019年に在日ノルウェー大使館でJoint Studio 2『TECH』の成果発表を行った。多数の専門家を前にフィールドリサーチで得た視点に基づくウールの活用を提案した2018年にノルウェーで行われたJoint Studio 1『RAW』。環境保全地域へフィールドトリップ。ワイルドシープの繁殖地において羊毛刈り職人のデモンストレーションを見学したJoint Studio 2『TECH』。桐生など繊維産地でリサーチを実施後、八王子キャンパスで集中ワークショップを実施した。各チームに分かれてディスカッションと実験を行い、ウール活用を探求した「認識の過程」鹿野里美(21年テキスタイルデザイン卒業)鹿野さんは本プロジェクトを経て、古着や襤褸の反毛を羊毛と組み合わせた素材による作品を卒業制作として制作。「繊維製品の過剰生産や廃棄の現実」を問いかけた10環境保全地域のワイルドシープを訪ね、羊毛の活用方法を探求する2018年に始まった「Connecting Wool」は、本学とオスロ国立芸術大学との国際協同教育プロジェクトです。ノルウェー北部に生息する北方固有種、ワイルドシープの毛に注目し、新しい素材活用方法の探究に取り組んでいます。素材研究をベースにデザイン提案までを行いながら、人材の育成と教育メソッドの構築を目指しています。コネクティングウールノルウェーの公的機関の助成を得て実施する協同研究オスロ国立芸術大学との国際協同教育プロジェクトConnectingWoolWoolW

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