TAMABI NEWS 91号(新たな価値を生み出す場所)|多摩美術大学
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「Tama Design University(TDU)」で開講された全50講義の中から、デザインの定義を問い直す3つのキーワードをもとに、注目の講義動画をピックアップ。デザイン領域の広がり、デザインという行為の深化、テクノロジーとデザインの関係について振り返ります。10多摩美術大学統合デザイン学科教授、日本民藝館館長、プロダクトデザイナー。2003年にNAOTO FUKASAWA DESIGNを設立。人の想いを可視化する静かで力のあるデザインに定評がある。 従来のデザインといえば、例えば本の装丁や家具、パソコンなどの「モノ」が対象でした。しかし、世の中から期待されるデザインの対象は「モノ」からサービスやUX(ユーザーエクスペリエンス)といった「コト」へ、さらにビジネスや政治などの「システム」にまでフロンティアは広がり上位概念化しています。 「モノ」や「コト」のデザインとは異なり、複合的な事象が絡まり合う社会システムのデザインは容易ではありません。そこで、今求められているのがデザインのあり方を問い直す動きです。講義では、拡張するデザインの基本に立ち返りつつ、社会構造を変革するような新しい「システム」のデザインについても語ってもらいました。深澤直人 INTEGRATED DESIGNほかにも第一線で活躍されている研究者、実務家による、幅広いテーマの講義が実施されました。その多くについてはアーカイブ動画が公開されており、現在も視聴することができます。日常に溶け込むデザインとは?コロナ禍で世の中が急速にデジタル化する中、日本の行政サービスにおけるデジタル化の遅れが浮き彫りになっています。これからの行政サービスを、デジタル技術を用いてデザインするにあたっての課題とは? 講義では、従来の立案重視の行政プロセスを、ユーザー体験を起点にして構築し直す必要性に言及。解決策として、官民がフラットに話し合い、連携して政策を共創し、ユーザーへの行政サービスの届け方を考える新しい統治デザインの可能性を考えます。デザイン実践者・研究者。JPモルガン・チェース銀行 デザインストラテジスト、東北大学特任准教授。2020年パーソンズ美術大学修了後、日米で社会規模の文化・ビジョンのデザイン研究・実践に従事している。多摩美術大学 環境デザイン学科客員教授。田中一光デザイン室を経て、1988年廣村デザイン事務所設立。グラフィックデザインを中心に、美術館や商業、教育施設などのサインデザイン、CI、VI計画を多く手がける。吉田泰己 POLICY DESIGN経済産業省情報プロジェクト室長、デジタル庁企画官デジタルテクノロジーを通じて社会システムはどのように変わりうるか?上平崇仁 DESIGN ATTITUDEデザイン研究者、専修大学教授さまざまに枝分かれし続けるように見える「デザイン」のもっとも根幹となることは何か?拡張し続けるデザインの根幹を考える講義です。その糸口として、「教育」と「経営」の場における「問題の捉え方を再構成し、新たな選択肢を創出する」デザインの態度について解説。さらに突き詰め、デザインの一側面である「再現性」をキーワードとして、生活の中にある「気遣う」行為と「仕組みをつくる」行為を補完し続けるような新しいデザイン的態度を提案します。岩渕正樹 TRANSITION DESIGN我々は、いかにして生きたい22世紀をデザインできるのか?それは「デザイン」なのか?村正彰 SIGN DESIGNデザインの速度とは?世の中から期待されるデザインはますます「上位概念化」している現在も視聴可能なTDUの講義領域を拡張し、深め、問い直すプログラム

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