TAMABI NEWS 94号(映像で魅せる力)|多摩美術大学
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(16年情報デザインコース卒)「サンリオ展」のキービジュアルや「いちご新聞」の編集など卒業生が最前線で牽引第7回「ハローキティ」「ポムポムプリン」「ぐでたま」などでおなじみの、日本を代表するキャラクター企業。ライセンスビジネスで確固たる地位を築くが、近年は「第二の創業」を掲げ、Web3やメタバースを取り入れたグローバルエンターテイメント企業へと躍進している。 2020年に初の社長交代をして以来、当社は「第二の創業」として大きな変革期にあります。VRChat上に「バーチャルピューロランド」を開園するなど早くからVRコンテンツを手がけたほか、社内では各デザイン部の統合により新部門も設立しています。会社全体で新しいチャレンジを進めるなか、クリエイター職に求められるものはいっそう大きくなっていくでしょう。 多摩美からは数年に一度の頻度で入社していますが、企業理念の「みんななかよく」という言葉のとおり、入社したら学歴を問わないフラットな社風です。スキルもさることながら、同僚や取引先と円滑に仕事を進めるためのコミュニケーション力も大切だと考えています。 新卒採用では、営業や事務などの一般選考とデザイナーやプランナーなどのクリエイター選考のふたつのコースがあり、後者ではクリエイティブ力を重視しています。オリジナリティがあるか、チャレンジ精神に溢れ、他者と違った強みを備えているかなど、作品と人柄の両面を見ています。各種イベント時のキービジュアルの社内コンペで出てくるデザインを見ても、同じテーマを描いていながらアウトプットされるデザインの幅がとにかく広く、さまざまな表現力を持つクリエイターが活躍しています。10 今年からふたつの部署に在籍し、メインの業務はコミュニケーションデザイン部で担当しているサンリオのブランド訴求です。サンリオショップに並ぶ商品のデザインに加えて、SNSなど商品以外のコンテンツにも携わり、キャラクターの育成に取り組んでいます。もうひとつの所属であるキャラクタープロデュース室では、「ハローキティ」のアートディレクターとしてブランディングなどを担当しています。「ハローキティ」は2024年に50周年のアニバーサリーイヤーを迎えるので、関連する国内外の施策の準備に力を入れている最中です。 在学中には大手IT企業でインターンをし、内定をいただきましたが、短いサイクルで変化していく業界に寂しさを感じていました。その点、サンリオのキャラクターは何十年も色褪せることなく、「かわいい」で時代を超えていきます。そうした永続性に惹かれて入社したので、創業人事部新卒採用担当  シニアマネージャーグローバルデジタルマーケティング本部コミュニケーションデザイン部 兼 キャラクタープロデュース室デザイナー60周年を記念した「サンリオ展」のキービジュアルのデザインが社内コンペで採用されたことは大きな喜びでした。歴代のキャラクターを描き込む必要があるなか、代表的なキャラクターである「ハローキティ」を際立たせたデザインにし、広告展開など施策のアイデアまで考え抜いて提案できたことが評価されたのではないかと思っています。 さらに最近は、お客さまが好きなキャラクターやデザインを選んで商品をカスタマイズできる「MY SANRIO」という公式オンラインショップの新サービスの立ち上げに携わりました。社内横断プロジェクトだったため、私も普段の業務の範囲を超えてサービス内容からUI・UXデザイン、商品デザインまで担当することになりましたが、ここでも情報デザインで培った幅広いモノづくりの経験が要所要所で活きたように思います。 入社以来、サンリオの月刊情報紙である「いちご新聞」のデザイナーを務めています。1975年から続いている歴史ある媒体で、全40ページのフルカラー。私は紙面やふろくのデザインのほか、入社した2016年の9月号から表紙を担当しています。心がけているのは「みんななかよく」という企業理念をひと目で伝えられるようにすること。特定のキャラクターの誕生月にはお友だちを一緒に登場させたり、たくさんのキャラクターが仲良く過ごす姿を描いたり、デザインに優しいメッセージを込めることを大切にしています。キャラクターの誕生月やクリスマスなどのイベントが固定されているなか、どうすれば毎月新しい「かわいい」をお客さまに届けられるかが難しい部分かもしれません。メンバーと展示やイベントに出かけてリサーチし、雑誌や映画などからも日々インプットして、懐かしいものを大事にしつつ、最新のものも取り入れた紙面作りを意識しています。描き起こしたイラストがグッズやカフェに展開されることもあるので、そのクリエイティブ監修も仕事のひとつです。 進路のきっかけは、「たれぱんだ」の生みの親である末政ひかる先生のキャラクターデザインの授業です。先生自身や先輩方の作品など、いつも資料をたくさん持ってきてくださいました。そこで刺激を得て、オリジナルキャラクターを持っている企業を志望するようになったのです。卒業制作のアニメーション作品では、野村辰寿教授から世界観やキャラクターの造形を掘り下げていく思考について教わりました。「人に伝わるようにアウトプットする」という考え方は今の仕事にも通底しています。多摩美での学びは、きっと学生のみなさんの人生をも後押しするはずです。(16年グラフィックデザイン卒)グローバルデジタルマーケティング本部いちご新聞編集局デザイナーメーカー石井和哉さん伊藤亜耶さん深田舞衣子さんサンリオ企業の人事担当者・卒業生に聞く多摩美への期待と実績

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