TAMABI NEWS 94号(映像で魅せる力)|多摩美術大学
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(16年プロダクトデザイン卒)11資生堂のクリエイティブ部門から2022年1月に独立。「美の力、クリエイティビティの力を信じ、世界に感動をもたらす」という企業理念のもと、プロダクトから広告宣伝、スペース、コミュニケーションデザインまで一気通貫で「美の体験」を創出している。 資生堂クリエイティブのデザイナーは、各々が培ってきた個性や強みを芯に持ちながら、会社の色に染まりきらない形で新しいデザインを提案できる人が多いと実感しています。そうした意味では多摩美の卒業生も、確かな専門性に加えて複数の領域を越境しながら、多様な分野で活躍しています。これは複数領域にまたがる学習の成果だと思います。 クライアントが抱える課題に対して、解決のために戦略を練り、最適なアウトプットを導き出す。そうした過程において、ただ求められたことに対処するだけでなく、自発的に行動できる人材はとても貴重です。多摩美生からはインターンの問い合わせをいただくこともあり、その積極性には私たちも期待しています。 資生堂パーラーのお菓子や「INTEGRATE」「Snow Beauty」「ANESSA」といった化粧品のプロダクトデザインを担当しています。容器や外箱の造形に加えて、私はグラフィックやイラストをつくるのが好きなので、パッケージのイラストまで描いたり、キャラクターデザインなどを担当したりすることもあります。自身の得意分野に応じて幅広い分野にアサインされるので、強みが活かされていると感じます。 在学中から、私はグラフィックやイラストを使って課題に挑戦することが多くありました。プロダクトとグラフィックは領域としては少し離れていますが、自分の興味に応じて挑戦できたのがよかったと思います。ただ、自由だからこそリサーチやテーマ設定には苦心する場面も多かったです。毎回、課題発表でプレゼンをしますが、そこでもプレゼンシートのデザイン性や相手への伝え方が鍛えられました。教員や学生からの講評に対峙した経験が、クライアントの要望に柔軟に応える現在の仕事に活かされています。むしろ、多摩美の課題のほうがハードだったと思うこともあります。課題に一生懸命取り組んでいれば、社会に出ても十分に活躍できると感じました。ビジネスマネジメント部広報・採用担当アートディレクター/デザイナー“「わが家」を世界一幸せな場所にする”をグローバルビジョンに掲げ、大阪に本社を構える住宅メーカー。近年は海外における戸建住宅や集合住宅、ホテルなどの建設・販売、さらには都市開発といった国際ビジネスにも取り組み、事業の多角化を推進している。 積水ハウスというと戸建住宅設計のイメージが根強いと思います。しかし、近年は消費者やクライアント企業のニーズの多様化が進んでおり、美しさや暮らしやすさへの関心が高まるにつれて、建築以外の視点も重要視するようになりました。デザインの専門性を高めた美大生は、住宅業界においても活躍の場が広がり続けています。 さらに競合他社がたくさんあるなかでお客さまに選んでいただくためには、目の前の一人ひとりへの提案の質も高めていかなければなりません。そのためには、興味関心の幅広さや観察眼が重要になるかと思います。相手をよく観察し、細やかな気づきから言外のニーズをつかめるような、感受性の高い人が住宅業界でも求められています。 外構設計強化グループという、社内の設計力やデザイン力を高めるための部署で働いています。主に携わっているのが、門扉やアプローチ、庭などのエクステリアの設計力強化です。当社には住宅を総合的に一貫して設計する方針があり、そのための社内研修の運営、iPadツールの開発、物件の分析などに取り組んでいます。特に深く携わったのが、支店の営業・設計担当者が利用するためのiPadツールの開発です。開発ありきのプロジェクトではなく、社内で何が求められているのかヒアリングするところからスタートしました。やがて把握したのが、社員がエクステリアの魅力をお客さまに伝えきれていないという課題です。そこで、お客さまの前で説明しやすいスライドのようなiPadツールを開発し、プレ運用でも好評だったので、これから全国展開されることになりました。 自分たちで課題を見つけて、解決するための施策を考えるのは、環境デザインの授業でも経験していました。「段ボールで人体を支えなさい」や「竹を使って『涼』を感じる空間をつくりなさい」といった授業のように、「答えのない問い」を通してデザインを学べたあの時間は、今の社会人生活にも間違いなく役立っています。(21年環境デザイン卒、2級建築士)本記事は連載企画です。さらに詳しい内容や他企業情報はWebでご覧になれます。人財開発部人財採用室 新卒採用グループ技術人財開発部外構設計強化グループ制作会社メーカー多摩美出身者は、ビジネスの最前線からどのような評価を受けているのでしょうか。また、その卒業生たちが学んだ多摩美での4年間は、ビジネスの現場でどう生かされているのでしょうか。さまざまな業界で活躍する企業人たちに尋ねました。デザイナーとして個性を持ちながらクライアントの課題に柔軟に対応する中山怜さん井上千聖さん多摩美で養われた「答えのない問い」を考える力がツール開発に活かされる中山隼さん高源佳希さん資生堂クリエイティブ積水ハウス

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