TAMABI NEWS 94号(映像で魅せる力)|多摩美術大学
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02自分が学生に教えられるものは何かと考えたとき、映像を通じたプレゼンテーションの手法であれば共有できるのではないかと思い至りました。つまり、映像によって人に何かを伝えるための演出技法です。同時に、自分の好きな表現を実践的に突き詰めてほしいとも感じました。「演出表現演習」という授業名には、そうした思いが反映されています。 この授業の集大成となったのが、「3文字の言葉から映像を制作し、観た人に感動を与える」という課題です。大きな制約は設けず、アニメや実写、CGなど、自分の好きな表現を追究してもらう形にしました。私が仕事をする中で実感しているのは、好きなものに対する熱意が創作の原動力になるということです。「なぜ好きなのか」という理由を深掘りし、その魅力を誰かに伝える。学生にはそんな映像を制作してほしかったんです。この課題に対し、私は教えるというよりも、より伝わりやすくなる工夫を一緒に考えるようなスタンスで対話を重ねました。また、撮影・録音の技法や編集機材の使い方といった技術面についても個別にレクチャーしていました。 また、映像の構成や演出についても丁寧に伝えました。映像の前半には何を表現したい作品なのかを明確に伝え、惹きつけるための仕掛けが必要ですし、後半には感動まで持っていくための流れを考えなくてはなりません。そうした「伝えるための演出」は重点的に学心に届く映像には伝える意思が宿っている多摩美術大学には映像学科はありませんが、映像の分野で活躍するクリエイターを数多く輩出しています。どのような課題を通じて映像表現を学んでいるのか、どのような環境が映像制作を後押ししているのか、映像で魅せる力が磨かれる理由に迫ります。課題 自分の心が動くものと向き合い、それを伝える力を育む三文字の言葉を大切に考える。その言葉と映像を観た人を、ぎゅっと優しく、泣かせてください。悲しませてはいけません。感動の涙です。情報デザイン学科 情報デザインコース 2年「演出表現演習」担当:林響太朗 先生

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