AI時代を勝ち残る進路選択|多摩美術大学
20/32

創造的な進路選択で広がる未来の姿は?齊藤さんが参加した「Creative Residency Arita」の様子。オランダのアーティストやデザイナーと窯元・職人とのコラボレーションで、新世代の商品開発に取り組む。20デザイン技師として、外国人作家と窯元・職人とのパイプ役に佐賀県窯業技術センターは、県の窯業を盛り立てることを目的とした支援機関です。私はデザインに通じた技師として、昨年は県のプログラム「Creative Residency Arita」に参加し、外国人作家と有田の窯元・職人とのパイプ役を担い、オランダでのシンポジウムに参加するなどしました。私は美術が好きで多摩美に入学したものの、「作家になりたい」とか「メーカーに勤めたい」とは考えていませんでした。そんな私にとって、1、2年時は専門に特化せず、デザインの基礎を幅広く学び経験を積める多摩美のカリキュラムは最適でした。「私は伝統工芸が好き。特に暮らしに身近な民芸を、もっと深く学びたい」という思いが明確になり、そこへ教授が勧めてくださったのが、現在の進路です。また多摩美の授業では、英語でのプレゼンをはじめグローバルな視点を重視していたことも、とても役立っていますね。私には「優れた作家や伝統工芸の技術を、誰もがもっと身近に楽しめるものにしたい」という夢がありますが、それに仕事として携われるのは幸せなことだと思います。窯業に限らず織物や彫金など、県や市が地域の文化や産業を支える機関は全国にありますので、「こんな道もある」ということを、ぜひ後輩の方たちに知ってほしいですね。事業デザイン課 技師[2018年 プロダクトデザイン卒]伊藤さんが携わった展覧会図録の一例。展覧会のほか、映画上映会なども担当する。展覧会の企画運営を通して芸術文化の発信や地域と関わる静岡市美術館は、国内外の美術やデザイン、工芸などの作品を幅広く紹介する美術館です。ここで私は学芸員として、主に西洋美術と現代美術を担当しています。企画や運営、広報活動はもちろん、子どもに絵の魅力を伝える教育普及活動、静岡で活動している作家への取材や調査を行うなど、業務内容は多岐にわたります。私は美術が好きで高校時代は絵を描いてみたりもしていたのですが、そのうち「私はつくることより、観たり研究したりするほうが好きだ」と気づきました。美術史のように文学部で学べる総合大学もありますが、より美術に特化したカリキュラムがあること、また、常にさまざまな分野の制作者に囲まれているという得がたい環境から、美大を選びました。さらに大学案内で「他の美大と比べて、多摩美は展覧会のプロデュースも実践的に学べる」という話を聞き、多摩美の芸術学科を受験。入学してみて、多摩美は希望どおりの環境だと感じました。専門性を深められたこと、多彩な価値観に触れて視野が広がったこと、さらにゼミでは実際に自分たちで企画した展覧会が実施できたこと。これらの経験がなければ、学芸員という仕事を想像することはできなかったでしょう。今につながる学びを得ていてよかった、と実感しています。学芸員[2009年 大学院芸術修了]佐賀県窯業技術センター静岡市美術館齊藤 梨紗さん 伊藤 鮎さん Interview公務員・団体職員編08

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る