AI時代を勝ち残る進路選択|多摩美術大学
21/32

メーカー編ゲーム編IT編メディア編建築・インテリア・宣伝・広報編ランドスケープ編エンターテインメント編公務員・団体職員編多摩美からの進路選択専門技術や知識をベースに地域・文化芸術の発展に貢献美大から公務員・団体職員への進路は、教職員や、美術館や博物館の学芸員が代表的。加えて近年は、地域創生の観点から事業デザインや広報分野を担ったり、自治体や団体等において、文化芸術の保全と発展、情報発信を目的とする部署での活躍など、デザインやアートのチカラで、他との差別化や価値の創出を図り、国際競争力を高める視点での採用が増えている。客席数1999席の本格的コンサートホールと3つの劇場、さらに展示施設などを備える東京芸術劇場。音楽やダンス、演劇などの作品を形にして世に発信するのが仕事私は多摩美時代、ここで得た知識や人脈から視野を広げ、映画や演劇の現場に関わったり音楽イベントを企画したりと、学外での活動にも力を注いでいました。当時から感じていたことは、私は芸術全般に興味はあるけれど自ら描いたり演じたりするいわゆる表現者側ではなく、それを形にして世に発信することにより関心があったということです。卒業後は世田谷美術館の学芸員を経て、音楽やダンス、演劇などの舞台プロデュースを手掛ける小さな事務所に合流しました。そこでは、まだ日本ではあまり知られていない世界中の音楽やコンテンポラリー・ダンス作品を発掘しては紹介し、国内外を飛び回ってネットワークを築いていきました。2012年に就任した東京芸術劇場では、日本を代表する公共劇場のスタッフとして多種多様なパフォーミング・アーツを上演・紹介する一方、企画プロデュースの経験を生かし、劇場のブランディングや環境整備などにも携わっています。企画制作の仕事は多岐にわたり、劇場運営や広報活動のほか、たとえば演劇であれば、主宰や劇作家とともにキャスティングや舞台装置など作品づくりから関わることもあります。また、本劇場の芸術監督であり、多摩美の演劇舞踊デザイン学科教授でもある野田秀樹さんとも一緒に仕事をしています。自分が企画制作した公演に心を動かされるお客さまに出会うとき、作品を通してつながれた喜びを感じ、それが仕事の大きなモチベーションになっています。広報営業係長[1988年 芸術卒]冨弥さんが勤務する富山市ガラス美術館。複合施設「TOYAMAキラリ」内にある。作家の気持ちを汲み取り展示を提案得意分野で地元を盛り上げたい私には、「将来好きな工芸の分野で、生まれ育った富山を盛り上げたい」という夢がありましたが、高校時代はまだ何が自分に向いているのかわかりませんでした。そこで、陶・ガラス・金属の基礎を学べ、そのなかから選択できる多摩美を選んだのです。2年生からガラスを専攻して知識と技術を習得し、就職課で希望どおりの募集を見つけ、卒業後は富山にUターンしました。富山市ガラス美術館は、現代グラスアートに特化した美術館です。私の仕事は事務が中心ですが、学芸員から技法について質問されたらそれに答えたり、市民の方がギャラリーを利用されるときに展示方法の相談に乗ったりなど、多摩美で学んだガラスの知識や、自分たちの手で企画し一般公開した卒業制作展などの経験を生かして関わることもあります。また、広報面では、デジタルサイネージ(電子看板)で一般の方に告知するときに、「どうしたら目に留まるか、わかりやすいか」という視点で提案しています。多摩美ではガラスの技術だけでなく、課題を仕上げるまでのスケジュール感覚など、仕事につながる多くの学びがありました。そうした環境から得られたことを仕事に生かす一方で、今後はガラス工芸の創作活動も積極的に行い、地元で夢を叶えていきたいと思っています。行政商業デザイン庶務[2018年 工芸卒]21東京芸術劇場富山市ガラス美術館前田 圭蔵さん 冨弥 葵さん

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る