AI時代を勝ち残る進路選択|多摩美術大学
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30当初は経済学部志望でしたが、将来、自分にしかできないと思える仕事をする姿が思い描けず、既卒生になった段階で国公立の美大に進路変更しました。そこから実技の勉強を始めたため時間が足りず、実技なしで受験できる多摩美にも出願したんです。「美大=純粋美術」と思い込んでいましたが、多摩美を調べるうちに、デザインが社会や就職とも直結し、美大にそれを教える領域があることを知りました。特にプロダクトデザイン専攻は、自分のつくったものが世に出ていろんな人に使われたらすごく嬉しいなと思い入学しました。実技試験を経てきた人たちと一緒に学べるか不安もありましたが、「習得してアウトプットし、指摘を受けたら修正する」という学びのプロセス自体、美大も高校までの勉強と変わりませんでした。将来は家電業界を目指しています。この専攻には日本を代表する企業で誰もが知るような製品を手がけている卒業生が数多く、自分もそこに続きたいです。高校の時からビジネスコンテストに参加するのが好きで、ものづくり全般に興味があり、工学部のデザイン系学科が志望でした。ですが、高3で行った多摩美のオープンキャンパスで「共通テストのみ入試」を知りチャンス!と思いました。それまで多摩美に憧れはあったものの、まわりに美大志望者がいないことや実技対策が必要なことから考えていませんでしたが、進学校で頑張ってきた学力のみでチャレンジできるならと進路変更したんです。実技に関しては、入学したばかりのころは課題が出される度に不安でしたが、課題をこなしていくうちに、みんなに追いつけるかどうかよりも、みんなと違ってていいんだと思えるようになりました。早い段階で自分の強みはロジカルなことだと気づけたからなんです。もともと理系の勉強をしてきたからか、課題に対して理由を段階的に組み上げ、論理立てた提案ができることを、先生方からも評価していただいています。将来はファッションプロダクト、特に時計など身につける製品のデザインがしたくてがんばっています。センター試験のみ(現・共通テストⅡ方式)で入学した当初は、もちろん不安でした。画塾に行っていなかったので絵を描く機会もありませんでしたし、美術大学っていうと絵のイメージが強かったので、プレゼン等で絵を描けていけるのかなという気持ちがありました。そんな心境だったのですが、1年生の時に受けたデッサントレーニングという授業で、パースペクティブ(遠近法)や水彩などを一から論理的に教えていただいたおかげで、自分の中にすっと取り入れることができました。今、振り返ると、構造力学はもともと自分が学んできた数学や物理の分野ですし、プレゼンの論理性を周囲から評価してもらえることが多いので、そういう部分でもともとの自分の強みを生かせていると感じています。多摩美は父の勧めで受験したのですが、合格後に学校見学をして、環境や設備のすばらしさに入学を決めました。「建築の学科だから理系出身者が多いだろう」と思っていたんですが、実際には文系の学生が多くてびっくりしました。デッサンの課題は全く経験がなく、苦手意識もあって戸惑いの連続で。課題制作も、同級生たちが自由な発想をするのに比べて自分の発想は普通だなと悩んでいたんですが、3年生のときの課題「家具的建築」では、初めて自分でも自由に発想できた!と自信が持てる作品をつくれました。さらに4年生では、講評会のときに作品をただ説明するだけでなく、「自分はこれがやりたかった」と思いが届けられるようになったんです。こんなふうに成長できたのは多摩美で学んだからこそ。市役所と区役所から就職の内定をもらいましたが、面接では美大で学んだ内容や得られたことを尋ねられました。ここで得た自由な発想力が求められていると感じましたし、公共建築やまちづくりを担う仕事に生かせるのではと夢を膨らませています。将来、社会の中で自分にしかできないと思える仕事がしたくて、進路変更した滋賀県立石山高校 卒業中出 眞太郎さん(2020年 プロダクトデザイン専攻 入学)オープンキャンパスで「共通テストのみ入試」を知ってチャンス!と思った聖光学院中学校高等学校 卒業吉川 潤さん(2020年 プロダクトデザイン専攻 入学)入学後のデッサントレーニングで遠近法や水彩を論理的に学ぶことができ、安心した。鷗友学園女子中学校・高等学校 卒業青木 美羽さん(2018年 環境デザイン学科 入学)公共建築やまちづくりを担う仕事に、ここで得た自由な発想力を生かして頌栄女子学院中学校・高等学校 卒業渡邉 沙未さん(2018年 環境デザイン学科 入学)実技試験なし、センター試験のみの入試方法で入学した在校生に聞きました。

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