多摩美大入試ガイド 2019
10/130

024掲載作品は入学者より選定※デッサン、油彩は同一作者の作品を掲載しています。油彩(6時間)【問題】与えられたハガキを手がかりに自由に描きなさい。【条件】キャンバスは大学で用意したものを使用すること。【注意】1. 火気の使用は認めません。2. 参考資料にあたる用具類やスケッチブック等の使用は認めません。3. 上記に反した場合、失格になることがあります。4. 出題の内容に関する質問にはお答えできません。【使用キャンバス】F15号●専門試験デッサン(6時間)【問題】対象を描きなさい。【条件】 画用紙または木炭紙は、大学で用意したものを使用すること。【注意】1. 火気、水、溶剤の使用は認めません。2. 参考資料にあたる用具類やスケッチブック等の使用は認めません。3. 上記に反した場合、失格になることがあります。4. 出題の内容に関する質問にはお答えできません。【モチーフ】人物【使用紙】サンフラワーペーパー(M画/650×500mm)またはMBM木炭紙(650×500mm)油彩今回の試験では、郵便局で普通に手に入る「郵政ハガキ」をモチーフとし、それを手ががりとして自由に絵画を描いてもらう出題としました。ハガキそれ自体は、一般の生活でもなじんだものであり、受験生の感受性や生活スタイル等に応じて様々な解釈が、自然に無理なく行われるものと思います。また、ハガキそれ自体も小さな紙という物質であり、切手部分の百合の花や文字など、必要最低限の様々な情報が記されています。また、そこに書かれるだろう通信文や記録などの伝達内容は、物語性を含め、想像力を刺激する豊かなモチーフとなります。上記の特徴を受験生がどう把握、解釈し、絵画という表現において描くのかが、最も重要な採点ポイントです。むろん構図や構成、色彩表現等基本的な油彩表現の能力も採点のポイントとなります。しかし、この出題の最も肝心な点は、受験生が新鮮な感覚をもって自発的に各自の可能性や発想力を発揮できているかどうかを判断することです。以上のような諸点を採点のポイントと考えます。●採点基準デッサン油彩・出題内容の把握・理解・基礎的な表現力・描写力・独創性(オリジナリティ)・作品への意欲的取り組み・魅力ある感性●出題のねらい・採点ポイントデッサンデッサン試験では基本的な観察力、描写力、表現力を総合的にみます。人物は身近なものですが、対象として捉えるときには、普通の生活では気づかない表現上の魅力を見いだすことが出来ます。単にデッサンのためのデッサンとして捉え採点するのではなく、受験生の感受性の豊かさを見いだす事を最重要なポイントと考えます。今回は男性モデルですが、モデルさんの表情や視線のあり方、筋肉や骨格の特徴、パイプ椅子に座ったポーズの何気なさ等、様々な解釈や表現が可能でしょう。モデルさんの発揮する雰囲気をどう捉えているのか、あるいは解釈しているのか。人物を通して垣間見える世界の有り様まで感じさせてくれるような表現が期待されます。もちろん、描写的な力量は重要です。しかし、それは全てではありません。受験生の持つ、全体的な感受する力、表現する力を採点ポイントとします。●教員コメントについて実技試験の採点は、油画専攻専任教員が全員で行いました。したがって、判定結果は全員の総意によるものですが、個々の作品についての評価は、当然のことながら全員が同じというわけではありません。教員それぞれが、出題の意図を検討し、解釈しながら、各自の芸術観に基づいて評価しました。教員が、どんな作品をどのように評価していくのか。その実例として、合格者(入学者)の中から13名の作品を選んで、教員のコメントを附しました。なお、ここに選んだ作品は、必ずしも高得点作品というわけではなく、多彩な表現の例として選んでいます。美術学部絵画学科 油画専攻

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る