多摩美大入試ガイド 2019
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038掲載作品は入学者より選定※デッサン、立体造形は同一作者の作品を掲載しています。立体造形(3時間)【問題】「水」をテーマに自由に造形しなさい。【条件】与えられた材料は全てを使用しなくてもよい。【注意】出題の内容に関する質問にはお答えできません。【使用素材】粘土(水粘土/5kg)【配布用具】ウェス2枚/ビニール袋1枚/制作板1枚/つげべら1本/かきべら1本/下書き用紙1枚●専門試験デッサン(3時間)【問題】「自画像」を描きなさい。【条件】1. 用紙は縦位置で使用すること。2. 鉛筆デッサンか木炭デッサンのどちらかを選択すること。【注意】出題の内容に関する質問にはお答えできません。※補助用具として鏡を支給【使用紙】サンフラワーペーパー(M画/木炭紙大)、またはMBM木炭紙立体造形・出題に対する積極性・豊かな空間表現・立体的な構築感覚・造形力(柔軟な発想)・新鮮な感性立体造形地球は水の惑星とも言われていますが、そもそも「水」には「かたち」があるのでしょうか。私たちを取巻く自然界では様々な水の表情を見ることができます。海や川の波、雨や霧、雪もまた水の変幻と言えます。何より私たちの身体の60%は水分であるように、水は常に千変万化しながらも生命にとって欠かす事の出来ない物質です。しかし、水はH2Oと表される様に水素と酸素の化合物の元素が集って出来たもの。冷えて固まると氷になり沸騰すると水蒸気となります。つまり私たちは水そのものと言うよりも、水の様々な「現象」を見ていると言えるのです。試験ではステレオタイプな水ではなく、いかに柔軟で新鮮な感覚で水をイメージできるのか。それには日頃から自然現象への興味と観察はもとより、決まったかたちの無いものに、かたちを与えるには常識に捉われない自由な発想と、「造形への強い意志」が試されます。今年度より立体造形試験も3時間として支給用具もシンプルなものとしましたが、造形への積極的な取り組みと多彩な発想が見て取れ、改めて受験生の意欲の高さを感じました。●採点基準デッサン・出題に対する積極性・豊かな空間表現・個性的な表現感覚・描写力・新鮮な感性●出題のねらい・採点ポイントH30年度入試では実技試験を1日に集約し、デッサン・立体造形をそれぞれ3時間で実施しました。主な出題のポイントは、「造形への強い意志」、「ものを見つめる眼差し」、そして「潜在的な感覚、感性の発見」としました。デッサンデッサン「自画像」では、一般的には基礎的な素描力が試されますが、個々の受験生がどのような視点で自己を捉え、観察し描写しようとしているのか。まさに「ものを見つめる眼差し」を試しました。あえて付加課題を与えずに「自画像」のみの出題でしたが、画面構成や表情に工夫を凝らしたり、色調やタッチを強調したもの、シンプルで静的な空間構成や描写力で臨むものまで様々な取り組みが見られました。何れにしても「自画像」とは奥行きを持った一つの画面、つまり「空間」の中に自分という主役をいかに演出し、存在させるかという事に他なりません。このことは彫刻という立体芸術の表現世界における根本的な命題、「存在」と関わるものです。鍛えられた描写力は勿論ですが、何気ない表情から発せられる独特な空間表現や、デッサンの技巧的にはやや未熟であっても、新鮮な感覚と視点の独自性をポイントとし「潜在的な感覚、感性の発見」を目的としました。美術学部彫刻学科

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