入試ガイド2020|多摩美術大学
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油画 美術学部絵画学科油画専攻デッサン・油彩《教員コメント》作者は与えられたキャンバスについて、短い時間の中で様々に考えたことと思う。結果、本来は支持体であるキャンバスを堂々と画面中央に描き、海岸の風景を後ろに押しやり背景として扱った。主客の立場を見事に逆転させている。さらに両者は同じ色調でありながら、キャンバスを存在感あふれる表現で描く一方で風景は看板のように平面的に扱っていて、ここでも作者の意図がはっきり読み取れる。デッサンは、素直な表現でモデルの各部分を的確に捉えている。何もなさそうな壁にも細かな工夫があり画面に動きを与えている。 (文責=野田裕示教授)《教員コメント》油彩では、中央に配されたモチーフのキャンバスを取り囲む様にドアが描かれ、放射状の線によって結びつけられている。回転する様な動きも生まれている非常にユニークな作品である。縦のストライプも空間に奥行きを与える効果をもち、多層化された幾何学的な解釈が成功した例である。ただ、色彩的には決して魅力あるものとは言い切れず、よりいっそうの研鑽が必要である。デッサンは、やや堅さと単調さが目立つが、丁寧に観察し、人物を静かな空間の中で把握しようとする努力を評価したいと思う。 (文責=中村一美教授)030

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