入試ガイド2020|多摩美術大学
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掲載作品は入学者より選定※デッサン、立体造形は同一作者の作品を掲載しています。立体造形(3時間)【問題】「光」をテーマに自由に造形しなさい。【条件】与えられた材料は全てを使用しなくてもよい。【注意】出題の内容に関する質問にはお答えできません。【使用素材】粘土(水粘土/5kg)【配布用具】ウェス2枚/ビニール袋1枚/制作板1枚/つげべら1本/かきべら1本/竹べら1本/下書き用紙1枚●専門試験デッサン(3時間)【問題】「自画像」を自由に描きなさい。【条件】1. 用紙は縦位置で使用すること。2. 鉛筆デッサンか木炭デッサンのどちらかを選択すること。【注意】出題の内容に関する質問にはお答えできません。【使用紙】M画用紙/木炭紙大またはMBM木炭紙立体造形・出題に対する積極性・豊かな空間表現・立体的な構築感覚・造形力(柔軟な発想)・新鮮な感性立体造形彫刻は主に立体物として表現され、私たちと同じ次元に存在する芸術です。一方絵画では私たちの存在する次元とは対自的に切り離された2次元の平面上に表現されます。つまり彫刻は見る人と同じ空間、光源の元で表現されるという事です。よって、展示される空間の大きさや光の状態によって見え方が著しく変化してきます。例えば屋外に展示されたものは刻々と変化する自然光や天候のもとで、屋内ならば、美術館やギャラリーのように限定された空間や照明によって鑑賞されます。また彫刻の素材も光の状態によって様々な表情が現れます。さらに自然光であれ人工照明であれ光あるところには必ず影が生まれます。私たちはその光が生み出す陰影によって初めて物体が認識できるのです。石膏デッサンはまさに彫刻の形を陰影で表現する訓練であるように、彫刻を見ると言うことは、言い換えれば光と陰を同時に見ていると言えるでしょう。このように、「光」と「彫刻」は密接に結びついたものなのです。試験では、「光」をどのように捉えて形象化できるのかを試しました。シンプルな形態に現れる陰影そのものを表現したものや、洞窟のような空間を設定し闇に差し込む光を導いたものなど意欲的な作例が見られ、新鮮で柔軟性に溢れた作品が高く評価されました。●採点基準デッサン・出題に対する積極性・豊かな空間表現・個性的な表現感覚・描写力・新鮮な感性●出題のねらい・採点ポイントデッサンデッサン3時間、立体造形3時間とし実技試験を1日に集約する形で実施しました。今年度の出題は付加課題を付けずシンプルに「自画像を描きなさい」として時間短縮の負担を軽減し、描写に専念出来る出題としました。自画像は鏡さえあれば、何時でも何処でも描くことが可能であり、特別の場所や用具を必要としないので、経験値に関係なくデッサンに望むことが可能です。しかし、いかにシンプルな様式であっても、描写力が最も端的に且つ客観的に評価されるのも自画像なのです。つまり、描く本人に似ているかどうかです。目鼻立ちや髪型なども本人の特徴の一つですが、最も大切なものはその雰囲気がどう捉えられているかです。胸部から頸部そして頭部へとつながる構造の把握や、それぞれの形態の特徴など全てが関連した様々な要素の総体が貴方自身です。限られた時間、技法の中でこれらを選択し集約する事はとても困難な作業と言えるでしょう。実は彫刻にも同じことが言えます。つまり彫刻は無限に存在する物質や素材の中から、テーマに沿って選択、加工し「かたちに」しなければならない極めて知的な行為だからです。自画像を出題する意味はここにあります。042美術学部彫刻学科

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