入試ガイド2020|多摩美術大学
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掲載作品は合格者より選定2. 記名票は右上になるように使用すること。3. タイトル票は左上になるように使用すること。【注意】1. A3の紙2枚は下書き用紙です。2. イラストボードの切れ端は試し塗り用紙となります。3. 出題の内容に関する質問にはお答えできません。【使用紙】TMKケントポスターボード(両面張り540mm×540mm)鉛筆デッサン(3時間)【問題】「共存と対話」をテーマに、粘土を使って造形的に表現し、それを鉛筆で描きなさい。【条件】1. 配布された粘土を自由に変形し、鉛筆デッサンのモチーフとして使2. モチーフとしての粘土以外のものを描いてはならない。3. 用紙は横位置とし、記名票が右上になるように使用すること。●専門試験視覚表現(5時間)【問題】地球の海底からさらに2.5キロ掘り下げた地下に、大量の「深部生命体」が存在するという。世界各国数百人の研究者により2009年から行われている国際共同研究「深部炭素観測」の最新成果だが、岩石から得られるエネルギーを頼りに、場合によっては数百万年も生き残ってきた可能性さえ考えられるという。参加した研究者のひとりカレン・ロイド博士は「地球の生命体に関してはまだまだ知らないことが多い。何十億年も私たちに気づかれることなく、同じ会社にいながら全く知らない同僚みたいに共存してきた」と語り、「海底に眠る研究課題の広大さに目を輝かせた」と報じられた。 おそらく「同じ会社にいるのに、全く知らずに共存してきた同僚」は、人間の社会にも自然界にもそしてこの宇宙にも存在するだろう。もしあなたが、こうした「同僚」に出会ったら。同じ所にいながら、いままで気づくことなく共存してきた「同僚」を想像し、あなたとの出会いの風景を描きなさい。【条件】1. タイトル票には、どういう意味であなたの同僚なのかを簡潔に書くこと。用すること。【注意】1. A4の紙2枚は下書き用紙です。2. モチーフは持ち帰ることができます。3. 出題の内容に関する質問にはお答えできません。【使用紙】BBケントボード特注(荒目/B3)鉛筆デッサン・見る力 = 対象の形を正確に捉え認識できるか・技術力 = 基本的な表現技術があるか・構成力 = 表現内容を組み立て配置ができるか・表現力 = 表現したい心があり、形にできるか・完成度 = 課題が作品として完成しているか鉛筆デッサン今年度の鉛筆デッサンは、「共存と対話」がテーマになった。出題のねらいはまず、問題を理解して粘土を使った造形表現ができるかどうか。そしてその造形を正確にデッサンできるかどうかを見ることにある。前日の視覚表現のテーマとも関連しているが、背景にあるのは、たとえば現代社会におけるコミュニケーションの現状である。スマートフォンの普及やSNS利用者の爆発的な増加によって、わたしたちは「いつでもつながっている」はずなのだが、孤独や差別は消えるどころか、むしろ深刻化している。それは欧米においても「分断社会」という言葉が使われるように、日本だけでなく現代世界のコミュニケーションの問題である。最新の技術を駆使する情報デザイン学科では、社会におけるメディアの役割にも強い関心を寄せている。その意味で「共存と対話」というテーマに応えるには、デッサンの知識や技術だけでなく、コミュニケーションという身近な問題に興味をもっていることが大切である。●採点基準視覚表現・理解力 = 出題内容を正確に読み取れるか・発想力 = 自分自身のテーマを展開できるか・構想力 = 構想を具体的に組み立てられるか・表現力 = 表現したいことを形にできるか・完成度 = 表現が作品として完成しているか●出題のねらい・採点ポイント視覚表現今年度の視覚表現は、未知との出会いを想像するというテーマであった。未知の生命体に関するニュースを例にした出題の背景には、美術大学においても幅広い教養が必要であり、特に情報デザインの分野では科学や技術やメディアについても好奇心を持っているべきと考えるからである。マスメディアを通じて世界的に話題になったニュースだが、研究者のひとりが言ったという、「同じ会社にいながら全く知らない同僚みたいに共存してきた」という言葉には、ユーモアやSF小説のようなニュアンスがある。こうしたニュースや科学者の言葉にロマンを感じとり、それをアートの表現に移し換えられるような、想像力をみるのがねらいである。採点のポイントは、まず何を「同僚」として、どのような出会いの場を設定しているかにある。問題の意図を読み取り、限られた時間のなかで完成させなければならない。画面の構成力や色彩感覚など、視覚表現の基本が問われるのはもちろんだが、ユニークな発想や視覚的な新鮮さも評価のポイントになる。078美術学部情報デザイン学科メディア芸術コース

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