入試ガイド2022
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日本画油画版画彫刻工芸グラフィックプロダクトテキスタイル環境メディア芸術情報芸術学統合演劇舞踊劇場美術一般選抜■■■教員コメント大胆な構図です。左端のくるみ、右のくるみ割り器が切れていることで横への広がりを見せています。くるみ自体も大きく描かれ、丹念に観察しようとする意思が見えます。割れたくるみが下を向いている構造に興味を持ちます。見るため考えるために構成をしていますが、それが文章に表れることが好ましいです。 机上には、くるみが5つと、くるみ割り器が置かれている。くるみ割り器は、刃と受け器が手前にきており、少し開かれた状態になっている。くるみは、5つの中で1つだけ割られており、割られていないものは、画面の右下に2つ、右奥に1つ、中央に1つ置かれている。割られているくるみの半分は、中身の実が取り出された状態で、内側を手前にして、くるみ割り器の持ち手の部分に寄りかかっている。もう半分は、中身はそのまま入った状態で、くるみ割り器の刃の奥側に寄りかかっている。取り出されたくるみの中身は、中央にそのまま置かれたくるみの上や、くるみ割り器の持ち手の上、机上などに置かれている。机上には他にも割られたくるみのかけらが散らばっている。くるみ割り器は金属でできており、コントラストが強くなっていることから重厚感が見て取れる。また、左上から当たる光を強く反射しており、その小さな凹凸にも白い光が反射している。くるみは、硬いがコントラストは弱く、反射する光はやさしい。くるみや、そのかけらは、くるみ割り器や机上に丸い影を落としている。くるみの表面の凹凸にも影が出来ており、くるみ特有の複雑な表面の形状が見て取れる。くるみの内側が刃に反射している部分があり、くるみの中身の色の多さや、金属の質感を表現している。教員コメントこれからのデッサンですが、何を見ようとしているか、どのように見たか、そしてどのように描きたいかが見て取れることが好ましいです。未熟はそれほど悪いことではないですが、理解ができます。これからこのような眼差しで世界を見たならば、眼差しが内部に浸透していく可能性を感じます。 初めてくるみを割るのが、試験会場だとは思ってもいなかった。パキッとくるみが割れた瞬間の音は、なんとも心地が良いものだ。 くるみの真ん中のでっぱった線に沿って割られたものが最前面に1つ、その背後には無造作に置かれたくるみが3つ、それらの右横にくるみ割り器で今にも割ろうとセットされたくるみと、その器械が横たわっている。 くるみは普段、中身を取り出した物を買う人が多い。だから殻を割っている光景はとてもメルヘンな雰囲気に包まれている。周囲も古風な西洋らしいオーク色に統一された部屋を思い浮かべさせるが、ひときわ光を放つ金属素材のくるみ割り器は人工的で、私を現実へと引き戻す。 今回のモチーフの違いは明確だ。人工物か自然物か。便利に形を整えられたくるみ割り器と、1つ1つ形の違うくるみ。人間の使用のために、全く違う2つのもので1つの画面が構成されている。 くるみは、各々模様や傷も様々で、表面が平らかではないため、光と影の世界がなめらかに分かれている。それに対し、金属であるくるみ割り器は、明暗がはっきりと分かれており、前面に位置することで、画面にメリハリをつけている。また、いたる所に散らばっているくるみのかすも、空いている画面を静かに盛り立てている。動作の主がたった今いなくなったような絵だ。見ている側が、くるみを割った時の小気味の良い音を聞きに行きたくなる。芸術学《一般選抜》鉛筆デッサン[言葉によるデッサンを含む]

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