入試ガイド2022
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日本画油画版画彫刻工芸グラフィックプロダクトテキスタイル環境メディア芸術情報芸術学統合演劇舞踊劇場美術特別選抜A ■(2022年度より開始 以下作品は想定問題より)「立体造形」の出題意図選択実技試験「立体造形」は、あなたの普段の活動やものづくりへの取り組み・創作を楽しむ力をアピールする試験です。普段の生活にある素材を2〜3種類用意します。その素材を使用して自由に創作します。日常生活で目にする材料を、制作のための材料として視点を変えてみてください。新鮮な感覚で、独自のイメージを膨らませてください。与えられた材料で何を作るか、材料の特性をどう活かすのか、作ることとどう関わるのか。自由に楽しんで、最後まで作り上げる皆さんの力を発揮してください。与えられた材料は全て使っても使わなくてもかまいません。提出点数、サイズも自由です。また、作品と併せて、制作にどのように取り組んだかを記述して提出します。造形素材であるスポンジの裂け目をビニタイで縫い合わせた様なアイディアの本作品は、各素材の特性と形状を意識して最小限の加工の要素で造形効果を狙って面白い。制作者はあえてビニタイを単色で扱っている様だが、他色も使用する事で視点を広げる効果も得られたと思う。造形素材であるスポンジを千切って積み上げたジオラマ模型の様な印象が面白い作品である。少し単調な印象を感じるが、荒く・固い質感を意識した造形のアイディアは評価できる。ビニタイの扱い方に疎密や色の効果などを意識して使用すると造形作品としての魅力がより増したのではないかと思う。クラフト紙を巻き込んだ二本の棒を繋いだ構造になっている。揺り籠のように、中に何かが入りそうな優しげな風情が心地よい。表面は一枚の紙で覆わずに、パッチワークのようにシワのある紙が折り重なっているのも、鳥の巣のような寄せ集めの複雑さが自然に見えて面白い。造形素材であるクラフト紙の特徴である長さと紙の質感を意識して、捻る・編むという効果を生かした独特の世界観のある造形作品だが、少し塊の感じが強くなり造形全体の高さや広がりなどが有ればと思う。完成イメージや空間・隙間などをさらに意識する事で素材の扱いの効果が上がったのではないか。ビニタイを繋いでスポンジを縛るとスポンジの弾力で張りのある球状の形ができることに着目した。スポンジの材質特性をうまく利用した造形に仕上げている。小さな丸い形は全体の構成を見ながらおそらく後から加えていったのだろう。ビニタイの色使いも相まって楽しくリズム感のある立体に仕上がっている。造形素材であるスポンジを虫食いの様にちぎり、穴を開けた所にビニタイを挿入するアイディアは独特な表情効果が出ている。左右の対比効果を意識して対とした2つの造形は少し単調な印象を与えている。面積やシルエットなどに差異をつけることで効果をつける選択もあったかと思う。面材であるクラフト紙を撚って線材にして、それで立たせる構造を目指したようだ。チャレンジ精神を感じる作品である。ただ、紙だけでは弱いので、テープをグルグル巻きにして補強する方法もあったかもしれない。緑のテープの凹面は半透明で不思議と見入ってしまう。縦の蛇腹に細かく折った紙を拡げると屏風のように大きな面が自立できることに着目している。横から見ると山形の三角構造でトンネルのように反対側が見える。養生テープはトンネル内部で紙の補強材として効果的に使っている。紙の質感と構造で作品を見せたかったのだと理解した。部分的に裂いたスポンジ板を丸めて円筒形にする。裂かれた部分は互い違いに結んだりちぎり取ったりすることで、円筒形の中にある空間が効果的見え隠れしている。全体をいろいろな角度からながめても、見え方に変化があり面白い。似た構造で調子が違う2作品の提出も評価したい。スポンジの張力が湾曲した空間をいくつも孕む構造を作り出すことで、板状の材料であるスポンジがしっかりと立っている。端部を本体に差し込んだり、繋いだりあるいは裂いてみたりと材料に自在に手を加えている。まるで人が体をひねらせて踊っている様に見えるのが面白い。一見して具象的な花束をイメージができる本作品は、造形素材としての養生テープの3色を活かした表現と高さを意識した事で、とても目を引く効果が出た作品である。三本脚の部分にクラフト紙を芯に使う事で花束の部分とのバランスをより意識ができて造形作品としてさらに明快なった。半透明の養生テープを繋いでシート状にし、破いたクラフト紙を重ねて両側から挟み込んだ。パウチやクリアファイルのようだが、半透明なせいで返って中身の形が気になる。シワや起伏が地図のようでもあり、また全体として絵画的魅力もある。アイデアの閃きを最後まで貫いく力と遊び心を感じる。工芸《特別選抜A:総合型選抜》例題1例題2立体造形

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