入試問題集2022|多摩美術大学
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115総合型選抜では、一般選抜で評価しきれない「能動性」「広い視野と個性」をもった意欲的な人を求めます。新しい表現と出会いたいと思うこと、自分から動こうとする力が自立した表現者としての道筋になると考えています。そして作品と向き合っていくなかで培われていく思考力や持続力が自らの社会性を養うことになります。さらに、高等学校等とも教育的な連携を進めながら、真■な姿勢で制作と向き合う個性豊かな人材の発掘をめざしています。総合型選抜では、選択科目A/B、面接、小論文の三つを総合的に審査します。選択科目では、従来の基本的な描く力を評価する選択Aの科目「デッサン『静物』」とともに、多様な版画技法の一つである写真表現にかかわる力を審査する選択Bの科目「コラージュ『写真』」が設定されています。[教員コメント]写真は、人物などの具象的イメージと、特定し難い物の表面の抽象的イメージと二つに分けられ、それらが交錯する空間は非常に魅力的です。ただ雑多感が強いので、写真をさらに厳選し、整理する方が良いでしょう。コラージュは写真を組み合わせる「足し算」の技法なので、足しすぎてしまうと、単に雑多な作品になりがちです。作品の狙いに沿って「引き算」を意識しましょう。[教員コメント]レモンとアボカドの色相の違いや、ミラーへの写り込みがしっかりと描かれています。素材の違いを丁寧に観察し、形状や質感を徹底して描こうとしている姿勢に好感が持てます。適切な鉛筆を選択し、さまざまなタッチを使って描くことで、モチーフの質感をよりリアルに表現することが出来たと思います。[教員コメント]丁寧に描かれた影とテーブルの存在への意識、またモチーフを取り巻く空間の自然な描写から、デッサンに向き合う作者の真■な姿勢が感じられます。4時間という短い時間ではありましたが、それぞれの素材の違いをどのように表現するのか、深い黒をもう少し活用するなど工夫しても良いでしょう。[教員コメント]空気感やバルールもうまく表現され、清潔感のあるデッサンだと感じます。アボカドやレモンの細かい描写への集中力もあり、光を感じながらよく特徴が捉えられています。それぞれの素材の重さは表現されているのですが、円柱の鏡面や、全体の遠近関係について、もう少し観察して欲しいと思います。選択Bの科目「コラージュ『写真』」は、これまでの描画を中心とする造形表現とは異質の造形感覚を評価する課題で、写真を選択する感覚や、選択された写真から発想する力、それら写真を編集する力、そして画面に構成する力などを採点対象としています。「面接」では、これまで制作した提出作品を前に何を考えて制作し、大学入学後どのような研究を行いたいのかを面談し、それを評価します。「小論文」では、大学における教養教育を修得するうえで必要な基礎力を幅広く有しているか、自身の考えを的確に文章として述べているか、版画に対する興味、関心の高さがテーマ設定、文脈からうかがえるかなどを評価していきます。[教員コメント]モチーフの特徴を上手く活かし空間を感じさせる構図が取られている点が好感を持てるデッサンです。しかしながら、このモチーフの組み合わせでは、ミラーの写り込みは作品の見せ場となりますので、もう少し丁寧に描画し質感に迫る描き込みが出来なかった点が惜しまれるところです。選抜方針

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