入試問題集2022|多摩美術大学
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16[教員コメント]デッサンの試験会場、そこではいろいろなものが見えていたであろう。近くに座る人、遠くの人、壁、床など、それらがとりとめもなく描かれているようであるが、移りゆく視線、そして作者の思考までが見えるようなデッサンである。油彩においては、問題文のすべてのキーワードを画面に取り込もうとしたようである。しかしそこには無理をしたり困ったりしている様子はない。おとぎ話の衣を纏いながらキラキラとした色彩を携えて、タテヨコナナメ、そして向こう側へと、軽々と枠を超えていくフットワークのよさが感じられる。デッサン油彩ともに、観る者をその場所へ引き込むような魅力がある。(文責=吉澤美香教授) [教員コメント]この油彩作品は何を描いているのだろうか。何かの部分のようでもあるが、抽象的な表現ともシュールな表現とも捉えることができる。空間のスケールも小さいのか大きいのか、どちらも有りだ。特殊な形態と限られた色による構造が魅力的な、画力が感じられる絵画である。デッサンについて、大胆に配置されている木製品はイーゼルの一部であろうか。手前の両端の髪の毛の描写も目を引く。描く側の身体の位置への意識や状況の捉え方に面白さを感じた。視野に入ってくる状況をシンプルに捉えてみる、ということかもしれないが、限られた環境のなかで、新鮮な視点を持とうとしている姿勢を評価したいと思う。 (文責=髙柳恵里教授)

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