入試問題集2022|多摩美術大学
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17[教員コメント]油彩では課された幾つかの言葉の中から「積む」という動詞が選ばれ、絵皿とそれを持つ手が描かれている。重ねられた絵皿の磁器の白さと紙パレットの白さが丁寧に描き分けられ、それぞれに残された絵の具が鮮やかで瑞々しい。絵が描かれる途上性のようなものが伝わってくる。そもそも油彩とは、キャンバスの上に時間をかけて色を「積む」ように重ねていくものであるということを、端的に表現している。自分の足元を描いたデッサンもそうだが、見ることと描くことの時間そのものが残されたような誠実で実直な表現が魅力的だ。 [教員コメント]受験会場の臨場感がリアルに表れていて良かった。他の受験生が描いている瞬間をしっかりと捉えている。自分の席から見える全てを画面に盛り込み、多くの情報量を限られた制作時間内で描ききった描写力は見事だと思う。空間を破綻させることなく自身のデッサンと手を構図に収めた遠近感のある構成にも力を感じた。 [教員コメント]不思議な配色や遠近感による独特のムードが印象的だった。具体的に描かれている「冥王星」とひもで表された「つながり」の他にも「距離」や「不可思議」などいくつかのキーワードを画面から読み取ることができた。筆跡を大胆に残し厚塗りと薄塗りのメリハリを効かせた見応えのある絵肌に魅力を感じた。 (文責=日野之彦准教授)(文責=石田尚志教授)(文責=日野之彦准教授)

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