入試問題集2022|多摩美術大学
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89[教員コメント]私たちは光源から放たれた光が物体に反射した反射光を眼球で捉えることによって、物体の色や形状を知覚しているわけだが、この作品は同じアングルと同心円形状のパターンに対して、反射光(光沢と影)を描き込むことによって、削る前の鉛筆と削られた後の鉛筆という対比構造を作り出したアイデアを評価した。[教員コメント]実際に布にボタンを縫い付けることを想像してみると、間に布が挿入されるため、この作品の右フレームのようにボタンの裏側がそのまま見えることはないのだが、この作品は服の上に定着しているボタンから、服要素を取り除き存在している状態のみを示すことで、表裏の関係を示すというチャレンジングな構造を評価した。[教員コメント]私たちは限られた要素だけを読み取り差異を認識することによって、複雑な世界のディテールをリアルタイムに把握している。この作品は、中央に描かれている円筒状の空間および影の描き方によって、テープの幅(奥行きの深さ)の違いを表現しようというアイデアを高く評価した。削る前と削った後オモテとウラテープの幅の違い

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