入試問題集2023|多摩美術大学
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99[教員コメント]渋めの色合いながら、調和が取れていて美しい配色。鳥は、全体が描かれていない構図であるが、それが問題文の「それがどんな種類の鳥であるのかは僕にもわからなかった」という文章を表していて、効果的である。生い茂った雑草の蔓が足に絡んでいる様も、この文章から受け取る侘しい風景と小説全体から受ける不自由さの印象を表現していてこちらも効果的である。[教員コメント]ほとんどの解答が、鳥を描いている中で、建物を中心的に描いている。画面全体を占める寒色が寂しさを表している。構図手前のシルエットの葉っぱが、茂った雑草の様を表しており効果的。鳥の石像は、鳥の形状を描いていないのだが、妙な存在感を感じさせる。絡んだ雑草も、これだけが明るい色彩で、印象的に表されているところがいい。[教員コメント]画面真ん中にドンと描かれた、まるでハシビロコウの脚のような大胆な構図。脚元から手前に伸びる紫色を帯びた影が何やら不吉で印象的である。後ろ脚の曲がりや、少し見える翼から、今まさに飛び立とうとしている様が連想させられる。背景の雑草であろうか、緑色がもう少し濃く描かれていれば、画面が強調されて更に印象的になっただろう。[教員コメント]低い位置から見上げた構図がいい。それを取り囲むように伸びる雑草が、円状なため、今まさに飛び立とうとする鳥に目線が集中する。台座に映る雑草の影で、雑草を描かなくても統一感を出しているのは流石の技。朱色の色合いはツツジを感じさせるし、石像の影も同じ色合いを持ってきているところもこころ憎い配色。

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