入試問題集2023|多摩美術大学
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68[教員コメント]空間に無数に浮かぶ量塊に触手が多数生えて、それぞれがたくましく育っている様子に見える。まだカオスは訪れる気配ではないが、躍動への一歩手前の成熟期に向かって成長しているような生命感が、緻密な描き込みから伝わってくる。[教員コメント]重力に反してにょきにょきと伸びる沢山の物体。折れずにしなやかに伸びるそれらの形状にどれひとつ同じものがない。それぞれが独自の成長を遂げたかのように表されている。樹木や草の植物がゆっくりと確実に成長した様も、長い時間の中でおきた跳躍だと、この作品は語りかける。[教員コメント]オーソドックスであるが画面の中心に向かってオブジェが配置されるのは“躍動感”を表現する上で効果的である。しかし画面の完全な中心ではない事に作者の意図が窺える。光源がz軸(奥行き)方向に中心からに広がる光だともっと効果的ではなかったか? 空気遠近法的な表現が加えられるとより良かったと思われる。[教員コメント]肉体が重なっているようにも、あるいは有機体の内部へと入り込んでゆくようにも、荒々しい風景のいち部分のようにも見える。跳躍するための生命の組織化であろうか、エラン・ヴィタル=生の躍動という哲学的コンセプトさえ想像させる力のある作品である。

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