入試問題集2023|多摩美術大学
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70[教員コメント]宴もたけなわになって、VRゴーグルを装着した参加者が楽しげに盛り上がっているようだ。毎日がハッピーになれるメディア·デバイスが日常化している様子が描かれている。ここでゴーグルの映像は、現実世界とどのように連動して見えているのか。祝祭の演出として情報メディア機器を用いることは、お祭り空間のなかで、リアルとヴァーチャルの相関関係を創出してみせることが求められる。それはメディア芸術にとって課せられた重要な役割であることを意識したい。[教員コメント]昨今の「ネット炎上」をシリアスに捉え象徴的に表した作品。情報の炎は独特の形状にアレンジされている。ピンクやグリーンや黄色に紫という特異な色彩で炎を表すことで、人工的でケミカルな印象を作り出している。群衆の意識が加わることで、より大きくなっていくネット炎上の怖さが、目と口の擬人化により表現されている。[教員コメント]トンネルの奥に見える二つの生き物は何かの象徴だろうか?想像力を掻き立てられるし、作者の独特な表現がとてもユニークだ。また二つの生き物の出会いにあるドラマを感じる事が出来る。中心をグレーの無彩色で表現した事に作者のある意図を感じ、トンネルの輪郭を補色関係でまとめた色彩計画も効果的である。[教員コメント]まるで焚き火を囲んでいるような、手の群れ。その上から液体が注がれる様子は、「火に油を注ぐ」ようでもあり、炎上する情報空間を実にうまく表現している。色数を抑えつつ、オレンジと茶色のグラデーションとピンクの配置が、空間の立体感を表しており、巧みである。デバイス一つであなたの毎日が祝祭に。世界の情報を燃料とする炎の成長を祝った。顔も名も知らない君に出会えた喜び賛否両論の添加物だらけのエサを与える

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