入試問題集2023|多摩美術大学
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97[教員コメント]鉛筆を折る程の力の入った手を、甲に浮き上がる血管で表現している迫力ある作品。鉛筆の破片が飛び散る様、折れた折口、剥き出しになった芯など審査の時に思わず“おっ!”と声をあげてしまった表現力は素晴らしい。入試の解答にもかかわらず、それ以上の感情を採点者全てに感じさせた感性には今後をさらに期待したい。[教員コメント]今回の解答の中で、もっとも真面目に取り組んで描かれているもの。対角線上に鉛筆を配置した安定感ある構図や、真っ直ぐに描かれている鉛筆の表現は、過去作の研究からか、狙った構図を描く作品が多い中、好感が持てる。硬い爪と柔らかい皮膚、鉛筆の硬さが描き分けられていれば、更に高い評価が得られた。[教員コメント]鉛筆を削った削り■がまるで土星の輪のように鉛筆の周りに漂っている様は、ユーモラスな感じも受ける。芯の細かな■も空間を構成するように表現されていたら、もっと躍動感があって良かったかと思う。残念なのは、鉛筆が六角形に見えないで、歪な形に描かれていることと、削り■がもう少し柔らかさを感じるように描かれていると良かった。[教員コメント]くるりと■る鉛筆がリズミカルでいい。鉛筆の描き方も、印字までが丁寧に描かれていて、モチーフとして与えられた鉛筆を最も正確に描いている。奇を衒った構図ではないものの、とても新鮮に感じる作風はレベルの高い表現力である。手の陰影がもう少し描かれていて、奥行き感、立体感が感じられれば完璧であった。

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