入試問題集2025|多摩美術大学
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一般選抜学校推薦型選抜総合型選抜情報デザイン学科 メディア芸術コース125デジタル平面構成[教員コメント]さまざまな方向から伸びる手が、絡み合ったロープへ付箋やクリップを取り付けている。試験問題の「出来事とその痕跡」というテーマを踏まえれば、付箋によって何かの記憶を繋ぎ止めようとしているようにも見える。上昇する螺旋状の構成と、テーマが視覚的に絡み合った優れた作品になっている。[教員コメント]折り重なる手の皺や指の重なりは、たしかに山脈のように見える。長い時間をかけ、隆起と侵食によって生まれた山々の風景は、手に刻まれた皺や痕跡と重ねることができるのだろう。先人たちがそうした地形の中に物語を見出し、民話や神話と結びつけたように、この手の痕や傷跡には様々な物語が潜んでいる。[教員コメント]大胆な構図と色彩がとても強い印象を生み出しつつ全体として統一感のある構成になっている。それぞれのモチーフの使い方にも工夫が見られ、細部を見ていても発見が多い。ロープを集中線のように用い、中心から外側へと向かう発散する力と、固く握られた手による中央へ集中する力との拮抗が感じられる。[教員コメント]ゲームのような画面の中央に、作者自身の顔が表示されている。ロープで引っ張られ変形し、ノギスで計測される様子は、社会の中で受ける制約や抑圧のようにも感じられる。一方でその表情はどこか楽観的で、頭から飛び出すキャラクターたちは、そうした抑圧を跳ね除けるかのような躍動感を感じさせる。[教員コメント]壁掛けフックや、ロープといったモチーフの反復によってリズミカルな印象を生み出している。デジタルデータは、劣化なく複製が可能である。誰かにデータを送信しても、手元のデータは消えることがない。私たちがオンラインで行うコミュニケーションは、その痕跡として膨大な複製を生み出すプロセスでもある。

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