入試問題集2025|多摩美術大学
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演劇舞踊デザイン学科 劇場美術デザインコース一般選抜総合型選抜学校推薦型選抜鉛筆デッサン131手の骨格、構造、陰影、質感、構図など全てにおいてバランスの取れた優秀な作品です。少し角が取れたエッジを描くことで、消しゴムの柔らかさを表現しており、消しかすがアクセントとなって画面を引き締めています。影もパースペクティブと抑揚が描かれ、これで空気感や奥行きが巧みに伝わってきます。とても丁寧に描かれていることも高評価です。消しゴムを積み上げる作品も多くありました。その中で、最もまとまりがある解答でした。構図のバランスと、手の骨格が良く、陰影により手の柔らかさも表現されています。掌の影部分にもっと奥行きが描かれていれば更に良くなったでしょう。斜め奥に光源を設定しているようですが、消しゴムの面の陰影が乏しいのと、影が雑に描かれているのが残念です。今回最も話題となった解答です。現実にはありえない情景で、消しゴムが鋭利な刃物のようになっています。描かれている消しゴムが柔らかく描かれているので、更に違和感が増しています。どのような気持ちで描いたのだろう? と、もう作者の術中に陥っています。面接時にも思わず意図を聞いてしまいました。しかし、このような外連味のある作品は注意が必要です。縦位置を活かし、画面いっぱいを使って描かれている構図がいいです。ゴツッとした手の表情も描けていますが、柔らかいタッチで皮膚の質感を、細かなタッチで爪の硬さを描けていれば更に評価がアップします。消しカスが多く点在しているので、もっと消しゴムが減っているようにすると、物語性がアップします。物語を想像させることも重要です。今回、モチーフが消しゴムだったこともあり、文字を消す作品が多くありました。文字を使用する場合は、あまりにもメッセージ性が強く表現されているものは如何なものでしょうか。この解答は、短時間の中、両手を描いていますが、それが構図として成功しています。何か物語性も感じられます。手前に描かれているのは、涙でしょうか? 何でしょう。スポットライトがあたったような、斜めに構図をとった印象的な作品です。数学の計算を消したのは、上手くいかなかったからでしょうか。手に消しゴムが埋まっているように感じるのと骨格のバランスがあと一歩です。どうしても、左手を描くようになってしまいますが、鏡を持参して、鏡に映った左手を右手として描いても大丈夫です。鏡使用は禁止されていません。大胆な構図が評価を受けた作品です。これから消しゴムを弾き飛ばそうとする躍動感が感じられます。薬指が床に置かれていて手を安定させている様も流れるような構図に貢献しています。陰影を明確にして腕の奥側をアウトフォーカスで描けば奥行きが強調されて、更にこの構図が際立ったでしょう。[教員コメント][教員コメント][教員コメント][教員コメント][教員コメント][教員コメント][教員コメント]

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