入試問題集2025|多摩美術大学
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絵画学科 油画専攻一般選抜総合型選抜学校推薦型選抜デッサン/油彩 17※デッサン、油彩は同一作者の作品を掲載しています。(文責=日高理恵子教授)(文責=日野之彦教授)[教員コメント]油彩作品が発する絵画としての魅力に、まず強く惹きつけられた。岩にはさまれた滝? 水の流れ? この部分が問題にある「間(あいだ)」ということだろうか? これはとてもストレートな捉え方であるが、ここに描かれているそれぞれの形や色は、単純にその状況を説明しているものではなく、絵画を構成する要素として、画面のなかで生き生きと輝き、この表現力が素晴らしかった。デッサンも真□にモデルさんに向き合っている様子が、画面から伝わってくる作品だった。モノトーンの色調も美しく、モデルさんとその周囲にひろがる空間との関係の捉え方も、とても丁寧で好感がもてた。ここから一層「自分の眼」を探っていってほしい。[教員コメント]蝶がサナギから孵化するまでの間が描かれている。「間」という1文字から、スケールの大きい幻想的なイメージを産み出す想像力が素晴らしいと思った。さなぎから蝶への変化が段階的に描かれているが、それが単なる説明になっていないのは、空気や光の描写によって濃厚なムードを表現しているからだろう。油画作品では、絵の具をこすりつけたり、しぶきを散らしたり、デッサンでは、木炭でぼかしたり、硬く尖った鉛筆で描き込んだり、あらゆる描画方法を駆使して密度のある空気を表現しようとしている。油画とデッサンともに描画表現の幅が広いので、見飽きることのない魅力的な絵になっている。

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