入試問題集2025|多摩美術大学
21/172

絵画学科 油画専攻一般選抜総合型選抜学校推薦型選抜デッサン/油彩 19(文責=千葉正也准教授)(文責=小泉俊己教授)[教員コメント]水中の光や色味が、制限された色数でもしっかり表現されている絵だなと思った。見れば見るほど不思議な絵で、左に居る人はおそらく水槽の手前を歩いているので中心で輝く黄色い魚は水槽の外を泳いでいるようにも見える。絵を読み解く愉しさも魅力になっていると思う。油の作品と合わせて見るとデッサンも不思議な色味、形の魅力に□れたものに見えた。[教員コメント]デッサン・油彩ともに、モチーフである人物の「存在」を画面に刻み出そうとする誠実な姿勢が印象的である。対象を内側から掘り起こすようなアプローチが画面に深みを与え、見る者をじわじわと作品世界へ引き込んでいく。とりわけ油彩作品では、背中を向けた二人のヌード(おそらく男女)を、それぞれの骨格や筋肉の起伏を通して、内面の感情や思索までも滲ませ、頭部はあえて曖昧に背景へ溶け込ませることで、二人の「間」の緊張感を描き出している。一方、デッサンではセーターの織柄の観察や構図は的確だが、木炭の調子にさらなる幅があれば、対象の質感や空間性に説得力が生まれたであろう。

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る