入試問題集2025|多摩美術大学
23/172

絵画学科 油画専攻一般選抜総合型選抜学校推薦型選抜デッサン/油彩 21(文責=村瀬恭子教授)[教員コメント]シンメトリーを着想に対になる人物の髪の毛や洋服の塗り分け、室内に配置された装飾物が生み出す淡いトーンのカラーコントロールが素晴らしい。カーテンの向こうに抜ける虹色のグラデーション、画面中心から室内の空気を左右がらりと変化させ、アイシングのような絵具のデコレーションや真っ黒な睫毛といい、ファンシーな印象を纏いつつ、なかなか手ごわい絵である。デッサンにおいては、ふさふさと辛抱強く描かれたセーターの毛羽立ちや柔らかそうな毛糸の帽子、このモデルさんにとても似合っている! と思わせる作者の視線を信頼したい。[教員コメント]入学試験で課題が二つあることや描写とイメージの課題が組み合わされていることはおおよそ「発想力」と「観察力」の萌芽を確認するためだ(と少なくとも僕は認識している)。何かをつくって人に伝える時、どんな段階においても「発想力」が必要なことは言うまでもない。一方「観察力」の有無は「発想力」の再生産に大きく関わる。「観察力」があれば、世界を観察し、アルゴリズムを発見し、物事の最小公倍数や最大公約数をみつけることができる=一回で終わらない未来の「発想力」を向上させる良き循環をつくりだせる、というわけだ。今自分が置かれている環境を冷静に観察し、瞬時に会場設営のためのチョークの薄いラインを、自分を含む「受験生どうしの間」から見つけた冷静な「観察力」は未来の発想力という観点において大きな信頼をえた。(文責=雨宮庸介准教授)

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る