絵画学科 油画専攻一般選抜総合型選抜学校推薦型選抜デッサン/油彩 23(文責=雨宮庸介准教授)(文責=石田尚志教授)[教員コメント]この課題において、試験会場の窓を描くというアイディアを選んだことは聡明な判断だと思う。この作者は「良いアイディア」決断後に発揮した観察力とその実行力によって他の似たような絵との差を明らかにしている。「間(あいだ)を描きなさい」という課題に対し、すこしだけ開いた□間は文字通り「窓と窓の間」であるとともに、曇りガラスの□間であることにより「見えないことと見えることの間」でもある。さらに言えば窓そのものの存在が建物の「内側と外側の間」に存在することを気づかせ「間」とは水平方向の□間だけではなく、垂直方向にも存在する、とても立体的な認識にまつわるものだと観る者にそっと告げてくるのだ。[教員コメント]人物デッサンのモデルの佇まいも、油彩の天使も、そこに描かれた身体は不思議な物語性を持ってこちらに何かを語りかけてくる。瞬間的でもあるし、何か永遠のようなものを感じる。対象と向き合う静かな時間も、高い断崖から身を投げる天使の飛翔の刹那も、ともに時が止まってしまったかのようだ。天使の絵におけるこの身体の瞬間は、確かに「間(あいだ)」ということについて様々なことを表現しているだろう。空間についても、時間についても、まさに「間」にある一つの身体である。それにしても、この天使は飛び立つのか、あるはゆるやかに弧を描きながら落下してしまうのか。そこにも不思議な「間」がある。
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